イギリスの女流推理小説家。ウェールズ南西部のペンブルックシャーに生まれ、ロンドンで育ち、大学では英文学を専攻し博士号を取得しています。
1998年、32歳の時にヴィクトリア朝時代のダンスホールや見世物小屋に関わる少女たちを明るいタッチで描いた青春小説「Tipping the Velvet」で作家デビューを果たした後、翌1999年には同じくヴィクトリア朝時代を舞台に監獄と交霊会の不思議な様子を手記風に綴った歴史ミステリー小説「半身」を発表。
これが大評判となり、アメリカの図書館協会賞やサンデー・タイムズの若手作家年間最優秀賞、更には35歳以下の作家が対象のサマセット・モーム賞などを相次いで受賞し、一躍イギリス文壇の注目の的となります。
そして2002年には同じくヴィクトリア朝時代を舞台にした第3長編「荊の城」を発表しますが、今度はとある女相続人から財産を騙し取ろうとする泥棒一家の一世一代の大博打の顛末を描いて前作以上の大変な評判となり、イギリス推理作家協会(CWA)賞の歴史ミステリ部門にあたるエリス・ピーターズ・ヒストリカル・ダガー賞を受賞し、ブッカー賞の最終候補作にも選ばれたのでした。
同じヴィクトリア時代の英国が舞台としながらも一作ごとにまったく別のテーマを扱い、異なる技巧を駆使して小説を書き上げることのできる豊かな才能で、イギリス本国では将来を嘱望されている作家の一人です。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Tipping the Velvet | 1998 | - | |
2 | 半身 | 1999 | 創元推理文庫254-2 | サマセット・モーム賞 |
3 | 荊の城 | 2002 | 創元推理文庫254-3・4(上下) | CWA賞エリス・ピーターズ・ヒストリカル・ダガー賞('02) |
4 | 夜愁 | 2006 | 創元推理文庫254-5・6(上下) | |
5 | The Little Stranger エアーズ家の没落 |
2009 | 創元推理文庫254-7・8(上下) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Helen and Julia | 2003 | - |
【参考」「半身」(東京創元社 創元推理文庫)