アルセーヌ・ルパンの生みの親
フランスの作家。イギリスの作家コナン・ドイルの生み出したシャーロック・ホームズと並ぶ人気キャラクター、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンの生みの親です。
ノルマンディー地方のルーアンに生まれ、海運で財を成したブルジョアの息子としてヨーロッパの漫遊旅行などを経験するなど恵まれた環境で育ったといいます。その後寄宿学校を卒業し、兵役を経て織機製造会社に就職しますが、仕事になじめず退職し、パリへ出て新聞社で出入りしながら執筆業に精を出すようになります。
それからしばらくは風俗小説を書き続け、不遇の時間を過ごしましたが、やがて1905年、40歳になって発表した短編「アルセーヌ・ルパンの逮捕」で人生の転機を迎え、以後は30年に渡ってルパン・シリーズとともに人気作家の道を走り続けました。
この「アルセーヌ・ルパンの逮捕」は友人で創刊間もない雑誌〈ジュ・セ・トゥ(私は何でも知っている)〉の社長ピエール・ラフィットに依頼されて渋々書いたといわれている作品でしたが、すぐには掲載されず、人気シリーズになると考えたラフィットに同じ登場人物で10編ほど書くように説得されてシリーズとして発表されることになったそうです。
そして発表されるや否や大反響を呼び、フランス小説史上最大のキャラクターにまで成長しました。晩年には長年に渡る文学への貢献を評価されてレジオンドヌール勲章を受章されたルブランでしたが、あまりにルパンの名が作者より有名になりすぎたため、ぼやくこともしばしばだったといいます。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Une Femme (ある女) |
1893 | - | |
2 | L'oeurre de mort (死の作品) |
1895 | - | |
3 | Armelle et Claude (アルメルとクロード) |
1897 | - | |
4 | Voiei des ailes! (これが翼だ!) |
1898 | - | |
5 | L'Enthousiasme (熱狂) |
1901 | - | |
6 | Un vilain couple (卑しい夫婦) |
- | ||
7 | La Frontière (国境) |
1911 | - | |
8 | La Faute de Julie (ジュリーのあやまち) |
1916 | - | |
9 | 赤い輪 (悪魔の赤い輪) |
1917 | 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集 別巻5('88) ポプラ社 怪盗ルパン全集22 日本文芸社 ルパン全集17('69) 田園書房('67) 三笠書房('58) 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集別巻1('53) 平凡社 ルパン全集別巻2('30) |
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10 | 三つの目 (三つの眼) |
1920 | 創元推理文庫107-21 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集 別巻3('87) 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集19('52) 平凡社 ルパン全集別巻2('30) 新青年'22.1-5 |
SF |
11 | ノー・マンズ・ランド (驚天動地) |
1921 | 創元推理文庫107-20 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集別巻2('53) 改造社 世界大衆文学全集57('30) 金剛社 世界伝奇叢書8('23) |
SF |
12 | 綱渡りのドロテ (女探偵ドロテ) (妖魔と女探偵) (ドロテ) |
1923 | 創元推理文庫107-19 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集 別巻1('87') ポプラ社 怪盗ルパン全集20 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集21('52) 平凡社 ルパン全集別巻1('30) 博文館 探偵傑作叢書49('27) |
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13 | バルタザールの風変わりな毎日 (バルタザールのとっぴな生活) (刺青人生) |
1925 | 創元推理文庫107-22 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集 別巻2('87) 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集9('52) 宝石'50.2 |
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14 | ジェリコ公爵 (魔人と海賊王) (ゼリコ公爵) |
1930 | 創元推理文庫107-17 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集19('83) ポプラ社 怪盗ルパン全集16 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集23('52) |
準ルパン |
15 | 真夜中から七時まで | 1933 | 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集 別巻4('87) | |
16 | 赤い数珠 (赤い蜘蛛) |
1934 | 創元推理文庫107-14 偕成社 アルセーヌ・ルパン全集23('83) 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集22('52) 探偵倶楽部'50.10-'51.2 |
準ルパン |
17 | L'Image de la femme nue (裸婦の絵) |
- | ||
18 | Le scandale du gazom bleu (青い芝の醜聞) |
1935 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Des Couples (夫婦たち) |
1891 | - | |
2 | Ceux qui souffrent (苦悩する人々) |
1894 | - | |
3 | Les Heures de mystère (神秘の時) |
1896 | - | |
4 | Les Lèvres jointes (重ねられた唇) |
1899 | - | |
5 | Gueule-Rouge, 80-chevaux (赤い口、八十頭の馬) |
1904 | - | |
6 | La Robe d'écailles roses (ばら色の鱗模様のドレス) |
1912 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Les noces de la morte 死者の婚礼 |
白水uブックス「笑いの錬金術 フランス・ユーモア文学傑作選」('90) | ||
2 | L'homme qui se sovient 記憶のある男 |
1911 | 偕成社文庫「フランス怪奇小説集」('88) | |
3 | Le coffret de voyage 旅行用金庫 |
1921 | 新青年'22.2増刊 | |
4 | La Dent de Hercule Petitgris プチグリの歯 |
1924 | 三笠書房 ルパン全集18「女探偵ドロテ プチグリの歯」('59) 日本出版協同 アルセーヌ・ルパン全集21('52) 平凡社 ルパン全集11('29) 新青年'25.6増大 |
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5 | 爆弾 | 新青年'22.6 | 原題不明 | |
6 | 深紅の封蝋 | 新青年'22.8増刊 | ||
7 | その母は誰 | 新青年'23夏季増刊 | ||
8 | 見えざる捕虜 | 新青年'24秋季増大 | ||
9 | 赤い鍵 | 新青年'27夏期増刊 | ||
10 | 無生の犯人 | 新青年'28.4増大 | ||
11 | 花骨牌 | 新青年'29夏季増刊 | ||
12 | 戦端 | 新青年'38.8特別増大 | 原題不明 | |
13 | 作った艶書 | 新青年'39特別増刊 | 長編18の「裸婦の絵」か? | |
14 | 懸賞金五万法 | 新青年'39秋季増刊 | 原題不明 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | La Foret des aventures (冒険の森) |
1932 | - | アンドレ・ド・マリクールとの共作 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Un début littéraire | 1926 | - | 回想録 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | リジストラータ | 1892 | - | モーリス・ドネ・デュトラックとの共作 |
2 | カンダンル氏 | 1905 | - | |
3 | La pitié pièce (憐憫) |
1906 | - | |
4 | 暗闇の男 | 1935 | - | ポール・L・パロとの共作 |
【参考】「アルセーヌ・リュパン─怪盗紳士の肖像」(ジャン=クロード・ラミ著 東京創元社)
「怪盗紳士ルパン」(早川書房 ハヤカワミステリ文庫)
「世界の名探偵コレクション2 アルセーヌ・ルパン」(集英社文庫)