ハードボイルドの始祖
アメリカの推理小説家で、ハードボイルドの始祖と目される人物。またフィリップ・マーロウもののレイモンド・チャンドラー、リュウ・アーチャーもののロス・マクドナルドとともにハードボイルド作家の〈御三家〉と評されています。
メリーランド州に生まれますが、生れた家が貧しかったためわずか13歳で働き始め、やがて1915年、20歳の時にピンカートン探偵社に入り私立探偵として活躍するようになります。そしてこの当時ハメットの上司だった人物が、後の探偵コンチネンタル・オプのモデルとなったのだといいます。
しかしほどなく激務のために体調を崩し探偵の仕事を辞めざるを得なくなりますが、その療養中に入院先の病院で看護婦ジョセフィン・アナス・ドーランと知り合い結婚。 更に静養の傍ら以前探偵として活躍した際の知識と職務経験を活かして推理小説を書き始め、1922年に短編「帰路」がパルプ・マガジン〈ブラック・マスク〉誌に掲載され作家デビューを果たします。
その後は生活苦もあって宝石店の宣伝部長などを勤めましたがあまり成功せず、再び体調を崩してしまい、療養の傍ら再び小説の筆を執ります。
そうして発表されたのが、1927年から28年にかけて〈ブラック・マスク〉誌に連載された長編「血の収穫」でした。
この「血の収穫」が大反響を呼びようやく作家としての地位を確立しますが、更にその名声を決定づけたのが1929年から30年にかけて〈ブラック・マスク〉誌に連載された、私立探偵サム・スペードの活躍する長編「マルタの鷹」です。
この作品は名優ハンフリー・ボガード主演で映画化もされていて、ハードボイルド小説の古典的名作として今日でも数多くのファンに愛読され続けています。
その後第5長編「影なき男」の発表を最後にスランプに陥ったのか、一切作品を発表しなくなってしまいますが、そんな中ハメットは共産主義と深く関わり合うようになります。
そして第二次世界大戦から戦後の冷戦構造下のアメリカにおいては、いわゆる〈赤狩り〉の犠牲になり投獄されたこともあったそうですが、今日ではその名誉も回復されているそうです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ガラスの鍵 | 1931 | 早川文庫143-4 創元推理文庫130-3 光文社古典新訳文庫('10) HPB169 |
ハヤカワベスト100・85位 EQアンケート86位 |
2 | 影なき男 | 1934 | 早川文庫143-3 HPB109 雄鶏社 雄鶏みすてりーず6('50) |
最後の作品 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | The Adventures of Sam Spade and Other Stories (サム・スペードの冒険) |
1944 | 創元推理文庫130-5「スペイドという男」(抄訳) | エラリー・クイーン編 スペード3編含む全7編 クイーンの定員98 |
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2 | Hammett Homicides | 1946 | - | エラリー・クイーン編 オプ4編他全6編 |
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1 | 両雄並び立たず (二本のするどいナイフ) (二つのナイフ) |
1934 | 講談社文庫「死刑は一回でたくさん」('79) EQMM'57.1 新青年'34.11 |
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2 | Ruffian's Wife ならず者の妻 |
1925 | 河出文庫「ブラッド・マネー」('88) HMM'84.7 |
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3 | Dead Yellow Women | 1947 | - | エラリー・クイーン編 オプ4編他全6編 |
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1 | The Green Elephant 緑色の悪夢 |
1923 | HMM'94.7 | ||
2 | The Hair One 毛深い男 |
1925 | 河出文庫「ブラッド・マネー」('88) HMM'72.12 |
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4 | 悪夢の街 | 1948 | HPB642 | エラリー・クイーン編 オプ2編他全4編 |
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1 | 悪夢の街 | 1924 | HPB642「悪夢の街」 | ||
2 | アルバート・パスターの帰郷 (アルバート・パスター帰る) |
1933 | 河出文庫「ブラッド・マネー」('88) HPB642「悪夢の街」 |
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5 | The Creeping Siamese | 1950 | - | エラリー・クイーン編 オプ3編他全6編 |
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1 | ダン・オダムズを殺した男 | 1924 | 創元推理文庫130-5「スペイドという男」 講談社文庫「死刑は一回でたくさん」('79) EQMM'65.9 |
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2 | ケイタラー氏の打たれた釘 | 1926 | 別冊宝石87('59) | ||
3 | The Joke on Eloise Morey | 1923 | - | ||
6 | Woman in the Dark | 1950 | - | エラリー・クイーン編 オプ3編他7編 |
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1 | 闇の中から来た女 (暗闇から来た女) |
1933 | 集英社「闇の中から来た女」('91) 別冊宝石79('58) 新青年'34夏季増刊 |
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2 | Afraid of a Gun | 1924 | - | ||
3 | 休日 | 1923 | 創元推理文庫130-5「スペイドという男」 マンハント'62.9 |
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4 | The Man WHo Stood in the Way 厄介な男 |
1923 | HMM'76.8 | ||
7 | A Man Named Thin and Other Stories | 1962 | - | エラリー・クイーン編 オプ1編他8編 |
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1 | A Man Named Thin 不調和のイメージ |
1961 | EQMM'61.7 | ||
2 | Wages of Crime 犯罪の値 |
1923 | ヒッチコックマガジン'63.1 | ||
3 | The Barber and His Wife 理髪店の主人とその妻 |
1922 | HMM'05.6 | ||
4 | Itchy, the Debonair 紳士強盗イッチイ |
1924 | EQMM'59.10 | ||
5 | The Second-Story Angel 深夜の天使 |
1923 | ヒッチコックマガジン'63.2 | ||
6 | In the Morgue 死体置場 |
EQMM'59.11 | |||
7 | When Luck's Running Good | - | |||
8 | The Big Knockover | 1966 | - | オプ9編他 全10編 |
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1 | Tulip | - | 未完成 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | スペイドという男 | 1976 | 創元推理文庫130-5 | スペード3編、オプ2編他 全10編 |
2 | 死刑は一回でたくさん | 1979 | 講談社文庫 | スペード2編、オプ4編他 全8編 |
3 | ブラッド・マネー | 1988 | 河出文庫 | 7編 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Parthian Shot 最後の一矢 |
1922 | HMM'05.6 | |
2 | The Road Home 帰路 |
河出文庫「ブラッド・マネー」('88) 国書刊行会「ブラック・マスクの英雄たち I」('86) HMM'77.5 |
ハメットの処女短編 | |
3 | Hard Boiled ついている時には |
1923 | EQMM'60.4 | |
4 | 怪傑白頭巾 | 河出文庫「ブラッド・マネー」('88) EQ'82.1(25) |
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5 | ダイヤモンドの賭け | 1929 | EQ'95.7(106) | サミュエル・ダシール名義 怪盗小説 |
6 | 恐ろしき計画 | 新青年'32夏期増刊 | 原題不明 | |
7 | 緑色のネクタイ | 新青年'35春期増刊 | ||
8 | 黒い羊 | 新青年'37新春増刊 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 闇の中から来た女 | 1933 | 集英社('91) 別冊宝石79('58) 新青年'34夏季増刊 |
1988年にロバート・B・パーカーの序文付きでハードカバーで刊行された中編 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | City Streets | 1931 | - | |
2 | Mister Dynamite | 1935 | - | |
3 | After the Thin Man 続・影なき男 |
1936 | HMM'87.4-5 | |
4 | Another Thin Man | 1939 | - | |
5 | Watch on the Rhine | 1943 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Dashiell Hammett Omnibus | 1935 | - | |
2 | The Dashiell Hammett Omnibus | 1950 | - | |
3 | The Novels of Dashiell Hammett | 1965 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Creeps By Night (英 Modern Tales of Horror) (米改 The Red Brain) (英改 Break Down) |
1931 | - | 1961年改版 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 怪奇小説の条件 | HMM'67.8 | エッセイ | |
2 | 『ベンスン殺人事件』について | 原書房「名探偵の世紀」('99) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ハメット | 1975 | 早川文庫364-1 角川文庫(改版)('98) 角川文庫('85) |
ジョー・ゴアズ著 ハメットが探偵役 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ダシール・ハメットの生涯 | 1983 | 早川書房('87) | ダイアン・ジョンスン著 |
2 | ダシール・ハメット伝 | 晶文社('88) | ウィリアム・F・ノーラン著 |