クリスティーに匹敵するミス・ディレクションの名手
ニコラス・ブレイク、マイクル・イネスなどと同時代にデビューしたイギリスの本格作家。
この点イギリス本国でも長い間不遇な扱いを受けていましたが、ミステリーの女王アガサ・クリスティーに負けるとも劣らないミス・ディレクションとユーモアに溢れた読みやすい文章で、近年欧米でも再評価著しい作家の一人です。
イギリスのケント州に生まれ育った後、本国を出て南米アルゼンチンに渡りブエノスアイレス大学を卒業、その後大学講師などの職を転々とし、その傍ら本名で普通小説や実用書などを書いたりしていました。
やがて1936年になるとミステリの世界にも進出し、長編「三人の名探偵のための事件」を発表。この作品は海外の有名な探偵をパロディ化したキャラの活躍するユーモラスな本格ミステリで、彼の代表作にも挙げられる傑作とされています。
その後もデビュー作で登場したビーフ巡査部長の活躍するシリーズと、パブリック・スクールの歴史教師キャロラス・ディーンの登場する本格作品を数多く発表しています。
日本でも近年新樹社から「三人の名探偵のための事件」「死体のない事件」「結末のない事件」と立て続けに3作品が刊行され、国書刊行会の世界探偵小説全集からも「ロープとリングの事件」が刊行されており、ブルース作品が手軽に読めるようになったのは喜ばしいことです。
旅行好きで、旅行記なども著し、ミステリ以外の著書も含めて全部で120冊以上の作品を発表しています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Release the Lion | 1933 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | Murder in Miniature, The Short Stories of Leo Bruce | 1993 | - | 没後刊行 ビーフもの9編含む全28編 |
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1 | Clue in the Mustard | - | |||
2 | On the Spot | - | |||
3 | A Letter of the Law | - | |||
4 | A Glass of Sherry | - | |||
5 | The Scene of the Crime | - | |||
6 | Murder in Reserve | - | |||
7 | Woman in the Taxi | - | |||
8 | The Nine Fifty-Five | - | |||
9 | Person or Persons | - | |||
10 | The Wrong Moment | - | |||
11 | A Box of Capsules | - | |||
12 | Blind Witness | - | |||
13 | Deceased Wife's Sister | - | |||
14 | Riverside Night | - | |||
15 | Rufus ─and the Murderer | - | |||
16 | The Marsh Light | - | |||
17 | A Stiff Drink | - | |||
18 | Into Thin Air | - | |||
19 | A Case for the Files | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Seven Thunders | 1955 | - | |
2 | Thief | 1960 | - | |
3 | Clash by Night | 1962 | - | |
4 | Paper Albatross | 1965 | - | |
5 | Three in a Cell | 1968 | - | |
6 | Nasty Piece of Work | 1973 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Pharaoh with His Waggons and other stories | 1937 | - | 全27編 |
2 | A Football for the Brigadier, and other stories | 1950 | - | 全24編 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 園芸上手 | 福武文庫「イギリス怪奇傑作集」('91) | R・C・クック名義 |
【参考】「ロープとリングの事件」(国書刊行会 世界探偵小説全集)