H・P・ラヴクラフトの影響を受け出版社「アーカム・ハウス」を設立
アメリカの小説家。ウィスコンシン州ソーク・シティに生まれ、生涯を故郷で過ごし、多くの筆名を使い分けてホラー・SF・ミステリーなどの小説をはじめ、詩・評論・伝記・児童文学など幅広い分野で100冊を超える著作を残しました。また編集者として数多くのアンソロジーの編纂や出版事業、雑誌の編集にも携わっています。
13歳で小説を書き始め、15歳の時にはもう作品を実際に出版社から出版してたらしく、17歳で〈ウィアード・テールズ〉に登場し、心酔するホラー小説界の巨匠H・P・ラヴクラフトの影響から怪奇小説の執筆にのめり込みます。
そして1939年にはドナルド・ワンドレイとともに出版社の〈アーカム・ハウス〉を設立し、ラヴクラフトの埋もれた作品の発掘をはじめ、怪奇小説を専門に次々と刊行してホラー小説界の発展に貢献しました。
ミステリの世界では、コナン・ドイルの息子と黄金時代の巨匠ジョン・ディクスン・カーの合作短編集「シャーロック・ホームズの功績」や短編の名手として知られたロバート・L・フィッシュの〈シュロック・ホームズ〉と並ぶ、ホームズの贋作ものの代表格”ソーラー・ポンズ”シリーズの作者として知られていますが、そのきっかけというのは、次のようなものでした。
元々シャーロック・ホームズものの大ファンだったというダーレスがホームズ作品をすべて読了し、もっと読んでみたいとある日ドイルにもうホームズものは書かないのかという旨の手紙を出します。
するとドイルからは「もう書くことはない」との返事が帰って来たらしく、それなら自分が続きを書こうと思い立ち生み出したのが、ホームズをイメージして造られたソーラー・ポンズというキャラクターでした。
そのためソーラー・ポンズはホームズの生き写しと言われるほどよく似ており、当然舞台もイギリスなのですが、当のダーレスは生涯を母国アメリカのウィスコンシン州で過ごし、驚くことに一度もロンドンを訪れることなくこの作品を書き上げたといいます。
また他にも故郷のウィスコンシン州を舞台にした、郷土色豊かな詩や歴史小説でも高い評価を得ています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Man on All Fours | 1934 | - | |
2 | Murder Stalks the Wakely Family (英 Death Stalks the Wakely Family) |
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3 | Sign of Fear | - | ||
4 | Three Who Died | 1935 | - | |
5 | Sentence Deferred | 1939 | - | |
6 | The Narracong Riddle | 1940 | - | |
7 | The Seven Who Waited | 1943 | - | |
8 | Mischief in the Lane | 1944 | - | |
9 | No Future for Luana | 1945 | - | |
10 | Death by Design | 1953 | - | |
11 | Fell Purpose | - | ||
12 | The Three Straw Men | 1970 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | Consider Your Verdict | 1937 | - | タリー・メイスン名義 | |
2 | 淋しい場所 | 1962 | 国書刊行会 アーカム・ハウス叢書('87) | ミステリ含む怪奇小説集 | |
1 | 淋しい場所 | 1948 | HMM'67.8 早川文庫NV「幻想と怪奇1」('75) 角川文庫「幻想と怪奇3/残酷なファンタジー」('75) |
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2 | パイクマンの墓 | 1946 | |||
3 | キングスリッジ214番 (キングスリッチ214) |
1949 | HMM'72.5 | ||
4 | 黒檀の杖 | 1953 | |||
5 | シデムシの歌 (しでむしの唄) |
HMM'72.7 角川文庫「怪奇と幻想2/超自然と怪物」('75) 岩崎書店 恐怖と怪奇名作集「シデムシの歌」('98) |
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6 | 閉まる扉 | 1950 | |||
7 | 暗い部屋 (ある家のある部屋) |
HMM'73.7 | |||
8 | ポッツの勝利 | ||||
9 | 黄昏に遊ぶ | 1949 | |||
10 | レコード録音機 | 1953 | |||
11 | へクター | 1951 | |||
12 | 仮面舞踏会 | 1952 | 国書刊行会 書物の王国12「吸血鬼」('98) | ||
13 | もうひとりの子供 (7人目の子供) |
1950 | 早川文庫NV「幻想と怪奇3」('78) 奇想天外'74.7 |
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14 | 森の空地 | 1954 | |||
15 | フォークナー氏のハロウィーン (フォークナー氏のハローウィン) |
1959 | HMM'75.4 | ||
16 | 幽霊屋敷 (貸別荘 幽霊も出ます) |
1962 | HMM'68.7 | ||
17 | 図書館の殺人鬼 | 1949 | |||
18 | 黒い髪の少年 (ダーク・ボーイ) |
1957 | HMM'68.8 | ||
3 | Harrigan's File | 1975 | - | ||
4 | Dwellers in Darkness | 1976 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | イーモラの晩餐 | 1926 | 創元推理文庫169-3「ディナーで殺人を/上」('98) | |
2 | The Lylac Bush ライラックの茂み |
1930 | 講談社文庫「世界ショートショート傑作選2」('79) 奇想天外'74.10 |
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3 | The Man On B-17 B17鉄橋の男 |
1950 | HMM'82.9 | |
4 | The Ghost 幽霊 |
1966 | 河出文庫「恐怖通信」('85) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Dark Mind, Dark Heart 漆黒の霊魂 |
1962 | 論創社 ダーク・ファンタジー・コレクション5('07) |
【参考】「ソーラー・ポンズの事件簿」(東京創元社 創元推理文庫)