アメリカの女流本格作家。本格作品だけではなく、一時期はサスペンス小説を中心に作品を発表していたこともありました。また私立探偵マイケル・シェーンもので有名なハードボイルド作家のブレット・ハリデイの妻としても知られています。(1946年に結婚しその後61年に離婚)。
新聞社の編集長だった父親譲りの文才で、14歳のときにすでに文芸論を書いていたそうです。その後ヨーロッパに渡りパリの大学で学んだ後、アメリカの新聞の特派員として活躍しつつ、しばらくはフランスやイギリスの新聞・雑誌に小説や評論を発表します。
ミステリの世界に入ったのはアメリカに帰国後間もない1938年で、後にシリーズ探偵として活躍することになる精神科医ウィリング博士が初登場する本格ミステリの長編「死の舞踏」ででした。
その後も代表作の「家蠅とカナリア」など、謎解き中心の本格本格ミステリを発表していきますが、1948年に発表した「ひとりで歩く女」あたりを境にして、以降しばらくはサスペンス色の濃い作風が目立つようになります。
そのためシャーロット・アームストロング、マーガレット・ミラーとともにアメリカ女流サスペンス作家御三家の一人と評されることもありますが、1968年発表の長編「割れたひづめ」あたりから再び本格度の高い作品を手がけるようになり、傑作をいくつも発表。1980年の最終長編「読後焼却のこと」ではネロ・ウルフ賞も受賞するなど、晩年までその筆力は衰えることはありませんでした。
また彼女は短編においてもすぐれた作品を発表していて、〈エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)〉の短編コンテストでも何度となく賞を獲得するなどの活躍を見せています。
その他にも1950年に女性初のアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の会長に就任したり、1953年にはMWA賞の評論賞を受賞したりと、幅広い分野でその才能を発揮しました。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 小鬼の市 | 1943 | 創元推理文庫168-8 | ウィリング博士との共演 |
2 | ひとりで歩く女 | 1948 | 創元推理文庫168-3 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Do Not Disturb | 1943 | - | |
2 | Panic | 1944 | - | |
3 | Unfinished Crime (英 He Never Came Back) |
1954 | - | |
4 | 殺す者と殺される者 | 1957 | 創元推理文庫168-6 創元推理文庫162('59) |
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5 | Before I Die | 1963 | - | |
6 | The Further Side of Fear | 1967 | - | |
7 | A Question of Time | 1971 | - | |
8 | A Change of Heart | 1973 | - | |
9 | The Sleepwalker | 1974 | - | |
10 | Minotaur Country | 1975 | - | |
11 | The Changeling Conspiracy (英 Cruel as the Crave) |
1976 | - | |
12 | The Imposter (英 The Impostor) |
1977 | - | |
13 | The Smoking Mirror | 1979 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Last Day | 1959 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | Better off Dead (人生はいつも残酷) |
1951 | - | 2中編 | |
1 | 人生はいつも残酷 | 1949 | 晶文社「歌うダイアモンド」 HMM'88.10 |
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2 | 歌うダイアモンド (奇想天外!) |
1965 | 晶文社 晶文社ミステリ('03) | クイーンの定員121 ウィリングもの2編を含む全8編 |
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1 | 東洋趣味(シノワズリ) (支那綺譚) (燕京綺譚) |
1946 | 早川文庫80-11「犯罪こそわが人生 アメリカ探偵作家クラブ傑作選9」('85) 早川書房 世界ミステリ全集18「37の短篇」('73) |
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2 | Q通り十番地 | 1963 | 光文社文庫「クイーンの定員 IV」('92) | ||
3 | 八月の黄昏に | 1957 | HMM'84.1 | ||
4 | カーテンの向こう側 (カーテンの向う側) |
1947 | 早川文庫80-5「殺人心理学/上 アメリカ探偵作家クラブ傑作選5」('82) | ||
5 | ところかわれば | 1965 | |||
6 | 風のない場所 | 1958 | HMM'82.10 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Black Disk 黒い円盤 |
1941 | EQMM'61.9 | |
2 | The Outer Darkness 外の暗闇 |
1950 | EQMM'60.3 | |
3 | Murder Is Everybody's Business 人殺しは誰でもする |
1953 | EQMM'58.5 | |
4 | Wish You Were Dead | 1958 | - | |
5 | Shadow of Fear | 1959 | - | |
6 | The Shadows Outside ふたつの影 |
1962 | EQMM'62.12 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 20 Great Tales of Murder | 1951 | - | ブレット・ハリデイとの共編 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 削除─外科医それとも肉屋? | 講談社「ミステリーの書き方」第23章('84) | エッセイ ローレンス・トリート編 |
【参考】「ひとりで歩く女」(東京創元社 創元推理文庫)
「歌うダイアモンド」(晶文社 晶文社ミステリ)