劇作家としても有名なミステリ作家
アメリカの劇作家・小説家。日本ではもっぱら代表作の「検屍裁判」をはじめとする一連のミステリー作品で有名ですが、欧米では世間的にはどちらかというと劇作家としての方が有名なようです。
ニューヨークに生まれ弱冠19歳にしてコロンビア大学を卒業した後、5年間銀行勤めをしていましたが、劇作家になる夢を捨てきれずに仕事の傍ら創作活動を開始し、1912年に処女作を発表し作家デビューを果たします。
その後100編を超すヴォードヴィル用の一幕劇の作品を次々と発表、これが大評判を勝ち得一躍作家としての地位を確立していきます。
そして彼の作品は本国アメリカだけでなく英語圏の1300もの都市で上演され、他方多くの国や言語でも翻訳されているそうです。
やがてミステリーにも手を染めるようになりますが、こちらの方はあくまで余技だったようで、戯曲に比べれば作品数もそれほど書かれている訳ではありません。
しかし、そのどれもが非常に高い水準を保っており、その中でも法廷ものの古典として名高い1938年発表の長編「検屍裁判─インクエスト」は彼の劇作家としての特徴を如何なく発揮した戯曲風に書かれたリーガル本格ものの長編で、ユーモアと機知に溢れ文学的味わいも濃い秀作として、探偵小説に総じて否定的なあのハードボイルドの代表的作家レイモンド・チャンドラーにも高く評価されているほどです。
また短編分野でもその才能を大いに発揮し、改心した元トランプ詐欺師ビル・バームリーがイカサマ師たちを相手にその巧妙なトリックの数々を次々とを暴き出していく「悪党どものお楽しみ」や、通信講座の探偵術を学ぶ素人探偵P・モーランが毎回人騒がせな騒動を巻き起こす「探偵術教えます」など、ユーモアに溢れた巧みな人物造型で読者を楽しませてくれます。
このうち「悪党どものお楽しみ」の方はエラリー・クイーンが絶賛し、〈クイーンの定員〉にも選ばれています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 悪党どものお楽しみ | 1929 | 国書刊行会 ミステリーの本棚3('00) | クイーンの定員79 | |
1 | シンボル | ||||
2 | カードの出方 | ||||
3 | ポーカー・ドッグ (ポーカー犬) |
EQ'99.5(129) | |||
4 | 赤と黒 | ||||
5 | 良心の問題 | ||||
6 | ビギナーズ・ラック | ||||
7 | 火の柱 | ||||
8 | アカニレの皮 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 堕天使の冒険 (堕落した天使) (堕天使の物語) |
創元推理文庫100-3「世界短編傑作集3」('60) 東京創元社 世界推理小説全集71「世界短篇傑作集3」('59) 東都書房 世界推理小説大系24('64) 別冊宝石73('58) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 探偵術教えます | 1947 | 晶文社 晶文社ミステリ('02) | ||
1 | P・モーランの尾行術 (尾行術教えます) |
小説推理73-10 | |||
2 | P・モーランの推理法 (推理術教えます) |
小説推理73-10 | |||
3 | P・モーランと放火犯 | ||||
4 | P・モーランのホテル探偵 | ||||
5 | P・モーランと脅迫状 | ||||
6 | P・モーランと消えたダイヤモンド (ダイヤの隠し場所) |
別冊宝石81('58) | |||
7 | P・モーラン、指紋の専門家 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | P. Moran, Personal Observer P・モーランと宝石泥棒 |
ミステリーズ!'09.2(33) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Mystery Week-End (ミステリー・ウィークエンド) |
1938 | - | 最初のミステリー長編 |
2 | Design for Murder (殺人の意匠) |
1941 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Behind the Door ドアのうしろで |
HMM'86.9 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | A House of Cards | 1935 | - | |
2 | Little Shot | - | ||
3 | The Finger of God | 1937 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 念の入りすぎたお客様 | 新青年'29.5 | ||
2 | 事実 | |||
3 | 内済金 | |||
4 | 過去完了 | |||
5 | 壱番目の依頼人 | |||
6 | 口を閉づ | 新青年'29.9 | ||
7 | その前夜 | |||
8 | 向上女史 | |||
9 | 火事にされたロバート | |||
10 | ビン |
No. | 事件名 | 発表年 | DVD | 備考 |
1 | The Woman in Room 13(米) | 1920 | - | 監督:フランク・ロイド 脚本:リチャード・シェイヤー 主演:ポーリン・フレデリック、リチャード・タッカー 原作:マックス・マーシン、サミュエル・シップマン、パーシヴァル・ワイルド(戯曲) |
2 | Moonlight Follies(米) | 1921 | - | 監督:キング・バゴット 脚本:A・P・ヤンガー 主演:マリー・プレヴォー、ライオネル・ベルモア |
3 | The Guttersnipe(米) | 1922 | - | 監督:ダラス・M・フィッツジェラルド 脚本:ウォレス・クリフトン 主演:グラディス・ウォルトン、ウォルター・ペリー |
4 | The Woman in Room 13 十三号室の女(米) |
1932 | - | 監督:ヘンリー・キング 脚本:ガイ・ボルトン 主演:エリッサ・ランディ、ラルフ・ベラミー 原作:マックス・マーシン、サミュエル・シップマン、パーシヴァル・ワイルド(戯曲) |
5 | The Rise of Duton Lang(米) | 1955 | - | 監督:オズモンド・エヴァンズ 主演:マーヴィン・ミラー(声) |
No. | 事件名 | 発表年 | DVD | 備考 |
1 | Lux Video Theatre: To Thine Own Self(米) |
1950 | - | 監督:リチャード・グード 主演:メルヴィン・ダグラス |
2 | Lux Video Theatre: Confession(米) |
1951 | - | 監督:リチャード・グード 主演:ドロシー・ブラックバーン |