MWA初代会長

USA ベイナード・ケンドリック
(Baynard Hardwick Kendrick)
〔別名 リチャード・ヘイワード (Richard Hayward)〕

指はよく見る
「指はよく見る」
(1945年)
(早川書房)

 アメリカの推理小説家。フィラデルフィアに生まれ、聖教会側の学校を卒業後フロリダで様々な職業を転々としたあげく、1932年より作家生活に入りました。

 また第一次世界大戦では宣戦布告から1時間と経たないうちにカナダ陸軍の兵籍に入隊し、二三の勲章をもらって無事帰還し、第二次世界大戦においてはアメリカ陸軍の失明軍人予後療養所の顧問を務めたりもしています。

 ミステリの分野においてはまず典型的な痩せの大食いの探偵ライス保安官補というシリーズ探偵を生み出し、3長編とパルプ雑誌〈ブラック・マスク〉に14編の中編を発表。しかし彼の名を一躍有名にしたのは、続けて1937年より発表された盲目の名探偵ダンカン・マクレーン大尉のシリーズでした。

 マクレーン大尉のシリーズはケンドリックが実際に目の不自由な人々と15年に渡って交流を続ける中で描かれ、そのリアリティー溢れるストーリー展開と、盲目であることを最大限に活かした絶妙なトリックが大好評を博し、今日ではアーネスト・ブラマが創造し、ホームズ期に活躍した盲人探偵マックス・カラドスと並び、盲人探偵の代表格として歴史に名前を残しています。

 また作家としては1951年に映画化された「Lights Out(消えた光)」でも有名であり、他にもアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の創設に深く関わったことでも知られていて、1945年には初代会長に就任し、ミステリ作家同士の交流を深める役割も果たしています。ちなみにMWAの会員番号は1番なのだそうです。

 そしてそれらの功績や長年の作家活動が評価され、1967年にはMWAの巨匠賞(グランドマスター賞)も受賞しています。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ、ペンシルヴァニア州フィラデルフィア
生没
1894年4月8日~1977年
作家としての経歴
1932
様々な職業を転々とした後、この年より作家生活に入る
1937
盲人探偵ダンカン・マクレーン大尉初登場となる長編「The Last Express(最後の急行)」を発表
1945
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)の創設に関わり、初代会長に就任
1967
長年の功績が讃えられ、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の巨匠賞を受賞
シリーズ探偵
盲人探偵 ダンカン・マクレーン大尉 (Captain Duncan Maclain)
マイルズ・スタンディッシュ・ライス保安官補 (Miles Standish Rice)
代表作
「The Last Express(最後の急行)」「Blind Man's Bluff」
「指はよく見る」

■著作リスト■

1 盲人探偵 ダンカン・マクレーン大尉登場作品リスト

2 マイルズ・スタンディッシュ・ライス保安官補登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Iron Spiders 1936 -
2 The Eleven of Diamonds -
3 Death Beyond the Go-Thru 1938 -

3 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Blood on Lake Lousia 1934 -
2 The Tunnel 1949 - 心理小説
3 Hot Red Money 1959 -
4 Flight from a Firing Wall 1966 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 どもりの六分儀の事件 1947 論創社 論創海外ミステリ97「エラリー・クイーンの災難」('12) クレイトン・ロースンとの合作

【普通小説】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Lights Out
(消えた光)
1945 - 心理小説
映画化('51)
2 Flames of Time 1948 - 歴史小説

4 リチャード・ヘイワード名義の作品

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Trapped 1952 -
2 The Soft Arms of Death 1955 -

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