アメリカの推理小説家。北欧スウェーデンのウプサラに生まれますが、8歳の時にアメリカに渡り、以後はずっとアメリカで暮らすことになります。
シカゴ大学を卒業し、第二次世界大戦中は化学技師として海軍に勤務し、戦後1946年からフリーの物書きとして活動を開始。翌1947年にサスペンス長編「Date with Darkness(闇との約束)」で作家デビューを果たしました。
その後は戦時中の経験を活かして、1949年に化学技師を主人公にしたスパイ小説「Deadfall」をコリヤーズ誌に連載したり、サスペンス小説を何冊か発表しますがいずれも評価はあまり芳しくなく、1950年代中頃には妻と三人の子供と一緒に西部メリーランドに移住して、専らウエスタン小説を書くようになります。
ところがこれが功を奏し、それらのウエスタン小説の中の一冊「大いなる西部」がウィリアム・ワイラー監督、グレゴリー・ぺック主演で映画化され、一躍人気作家の仲間入りを果たします。ちなみにこの作品は今でもウエスタン小説の古典的名作として語られることの多い作品です。
やがて1960年代、007をはじめとするスパイ小説がアメリカでブームを巻き起こすと、西部の田舎で安閑としていた元スパイのマット・ヘルムを主人公に据えたスパイ小説「誘拐部隊」を発表。これがミステリ評論家のアンソニー・バウチャーから「タフで、リアルで、そして真実味のあるスパイ小説」と絶賛されるなど、大変な好評を博し以後は年1冊のペースでこのシリーズを90年代まで書き続ける。
マット・ヘルムのシリーズは”アメリカのジェームズ・ボンド”と称され、ディーン・マーチン主演で映画化もされましたが、こちらはハリウッド映画にありがちなお色気と最新兵器がメインに作品が構成されていて、ハードボイルド的な乾いたタッチと皮肉な語り口が持ち味の原作とは全く赴きが異なるため、その上でご覧になった方がいいかと思います。
また都会よりも西部の大自然を愛したことからも分かるようにアウトドア派で、銃、狩猟、ヨットについての著作もあり、銃などの薀蓄は作中でもよく活かされています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Date with Darkness (闇との約束) |
1947 | - | デビュー長編 サスペンス |
2 | 裏切り者の顔 | 1948 | 創元推理文庫250-2 | |
3 | Night Walker (英 Rough Company) |
1954 | - | |
4 | 殺しの標的 | 1955 | 創元推理文庫250-1 双葉社('81) |
|
5 | Assignment: Murder (Assassins Have Starry Eyes) |
1956 | - | |
6 | The Mona Intercept | 1980 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Murder Twice Told | 1950 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Throwback …そして、また |
1953 | マンハント'62.1 | |
2 | 六度自殺した男 | サンリオ「私は目撃者」('79) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Smoky Valley | 1954 | - | |
2 | Mad River | 1956 | - | |
3 | The Big Country (大いなる西部) |
1957 | - | ウエスタン小説 映画化('58) |
4 | Texas Fever | 1960 | - | |
5 | The Two-Shoot Gun | - | ||
6 | Iron Men and Silver Stars | 1967 | - | |
7 | On Guns and Hunting | 1970 | - | |
8 | Cruises with Kathleen | 1980 | - |