本格色の濃いハードボイルド作家
アメリカの推理小説家、映画脚本家。レイモンド・チャンドラーやジェームズ・M・ケインとともにハードボイルド創成期にダシール・ハメットの影響を受けて作品を発表し、ジャンルの確立に多大な功績を残した作家の一人です。
イリノイ州のシカゴに生まれ、新聞記者を経て作家生活に入り、1935年に「Murder in the Madhouse(精神病院の殺人)」でデビューを果たします。その後も作品数は少ないのですが、完成度の高い長編を数多くものにしています。
ハードボイルドの始祖であるダシール・ハメットの影響を大いに受けながらも、全体としてはユーモアたっぷりのほのぼのとした作風を特徴としていますが、それ以上に彼の一連の作品で特徴的なのは、ハードボイルド作品にも関わらず本格的な謎解きの要素が非常に強い点です。
代表作の「処刑6日前」は密室殺人を題材に扱ったまさしく本格ミステリであり、その他の作品もほとんどが謎解きを中心に据えた作品で、ハードボイルドのジャンルに色分けしてしまうのは正しくない作家かもしれません。
1940年代に入るとハリウッドに移り住み、映画脚本家としても活躍。ハメットの「ガラスの鍵」や弁護士ペリイ・メイスン・シリーズなど数多くのシナリオを書き上げました。
彼の作品に登場する私立探偵ビル・クレインは、正統派ハードボイルド探偵たちとは一風変わったダーティーな雰囲気を持っていて、ブラック・ユーモアを交えたテンポの良い台詞回しで読む者を惹きつけます。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Search for My Great Uncle's Head | 1937 | - | ピーター・コフィン名義 |
2 | Dark Memory | 1940 | - | 異境ミステリ |
3 | 第五の墓 | 1941 | HPB875 | |
4 | シカゴの事件記者 | 1955 | 創元推理文庫129-2 | |
5 | 黒は死の装い | 1959 | HPB669 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Lone Wolf Spy Hunt | 1939 | - | Louis Joseph Vance 原作 |
2 | Topper Returns | 1941 | - | |
3 | The Glass Key ガラスの鍵 |
1942 | - | ダシール・ハメット原作 |
4 | Nocturne | 1946 | - | |
5 | They Won't Believe Me | 1947 | - | Gordon McDonell 原作 |
6 | The Big Clock 大時計 |
1948 | 別冊宝石12('50) | ケネス・フィアリング原作 |
7 | Night Has a Thousand Eyes 夜は千の目を持つ |
- | コーネル・ウールリッチ原作 | |
8 | The Unholy Wife | 1957 | - | William Durkee との合作 |
9 | The Greenhouse Jungle 悪の温室 |
1972 | - | 刑事コロンボシリーズ第11話 |