Ｃ・Ｐ・スノウ
（Charles Percy Snow）

　Ｃ・Ｐ・スノーとも表記。イギリスの小説家。元々は科学者として有名だった人物で、後に大河小説「他人と同胞(Strangers and Brothers)」のシリーズで純文学作家としても名を馳せます。また文系と理系の文化の違いについて書いた「二つの文化の科学革命」は大変な論争をもたらしたことでも有名です。

　古代ローマ時代に作られたイングランドでも歴史のある都市レスターに生まれ、レスター大学、ケンブリッジ大学などで物理学を学び、1930年には博士号を取得しレスター大学クライスト・カレッジの特別研究員となり科学者として名を馳せます。その後労働省の技術部長や電力会社の重役・科学技術大臣の議会秘書なども務め、1957年にはナイトの称号も授けられています。

　作家として活動をはじめたのは26歳の時で、「ヨット船上の殺人」と題されたこの作品はアマチュア探偵フィンボウが心理分析的推理法を用いて活躍する黄金時代のミステリーの流れを汲む本格ミステリ作品で、船上ミステリーの傑作として高く評価されています。

　もっともその後に発表された全11巻からなる自伝的な大河小説「他人と同胞(Strangers and Brothers)」の執筆により、この一連のシリーズでジェームス・テート・ブラック・メモリアル賞を受賞するなどしたため、イギリス国内では純文学者として名を知られているようです。

　その他にも科学と政治に関する評論や講演でも知られていて、1959年に行われた講演をまとめた「二つの文化と科学革命」では、文系と理系の対立が文化のみにとどまらず正常な社会の進歩まで阻害しているとして、伝統的な教育制度の抜本的改革を提唱して世界的な論争を巻き起こし、今日に至ってもこの問題が論議される際には彼の著書が引き合いに出されることもしばしばです。