カナダのミステリー作家。齢70歳にしてデビュー長編「パイは小さな秘密を運ぶ」で英国推理作家協会(CWA)のデビュー・ダガーを受賞し注目を集めました。
幼い頃は病弱で、ベッドで読書ばかりしていた事から無類の本好きになったといいます。その後ラジオ局やテレビ局勤務を経た後サスカチュワン大学で教鞭を執っていましたが、1994年に早期退職するとその後は執筆活動に専念。サスカチュワンに作家ギルドを作り短編小説や童話などの発表しているほか、2006年には「シューボックス・バイブル(The Shoebox Bible)」という回想録も発表しています。
ところがある日アダムという探偵が主人公のミステリを書いていた時に忽然と現れたというおさげ髪の少女、その彼女を主人公に数年後に妻のシャーリーの勧めで物語を書きCWAのデビュー・ダガーに応募します。
するとこれがデビュー・ダガーの審査員を務めたイギリスの出版社オリオン・ブックスの編集長ビル・マッセイの目に留まり、そのウィットとユーモア、そして活き活きとした人物造形にたちまち魅了されたと絶賛され、2007年のデビュー・ダガーを受賞することとなったのでした。
この少女というのが強烈な個性を持った化学の大好きな11歳の少女探偵フレーヴィア・ド・ルースで、一冊では彼女の魅力をすべて伝えきれないと考えたブラッドリーはその後6冊のシリーズを構想しますが、マッケイはそのすべての版権を一括で購入するほどの惚れ込みようで、更にデビュー作の「パイは小さな秘密を運ぶ」は25か国以上に売れ、CWAのデビュー・ダガー以外にもアガサ賞最優秀処女長編賞やマカヴィティ賞の処女長編賞など、9つという異例の数の新人賞に輝く大変な注目作となりました。
ちなみにフレーヴィアのシリーズは1950年のイングランドが舞台となっていますが、本人は2007年に英国推理作家協会(CWA)のデビュー・ダガーに選ばれ授賞式に出席するまでイギリスに行ったことがなかったそうです。
それでも古きよきイングランドを舞台にできたのは、彼の祖父母が英国からの移民で祖父が晩年寝たきりの状態になった際に幼いブラッドリーに故郷が懐かしかったのかイギリスの話ばかりしていたことや、読書好きだったブラッドリーが祖父母の家に山ほどあったイギリスの本や雑誌を読んでいたことが影響しているのだそうです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Ms. Holmes of Baker Street: The Truth about Sherlock (ミズ・ホームズ・オブ・ベイカーストリート) |
1980 | - | ウィリアム・サージャント(William A. S. Sarjeant)との共著 |
2 | The Shoebox Bible (シューボックス・バイブル) |
2006 | - | 回想録 |
【参考】「」(東京創元社 創元推理文庫)