USA 少女探偵 ケイ・トレーシー
(Kay Tracey)

ふしぎな山びこ
「ふしぎな山びこ」
(1934年)
(金の星社)

 アメリカの作家フランシス・K・ジャッドが生み出した、16歳になる少女探偵。
 背が高く賢そうな目は茶色に輝き、きりりとした口元はきびきびとした態度としっかりとした性格を物語っています。

 新聞記者だった父親が二年前に他界したため、優しくて美しい母親のトレーシー夫人と、彼女の兄代わりとしていろいろと相談に乗ってくれる有望な青年弁護士でいとこのビルとともにブラントウッド郊外の町に住んでおり、普段はカーモントにある高等学校へ汽車で通学する日々を送っています。

 物語ではいつもこの少女を主人公に、彼女の同級生で親友の双子のワース姉妹が登場し、三人トリオで、一緒に力を合わせて様々な難事件を解決していきます。

 青い瞳に金髪の活発な少女である姉のベティと、青い瞳に黒髪でどちらかというと地味で穏やかで性格で詩などを作ったりする夢見がちな少女の妹のウィルマはあまり似ておらず見た目も性格も正反対ですが、ケイのことが大好きなのはどちらも同じで、お互いが尊敬し合ってすらいます。

六本指の手ぶくろ
「六本指の手ぶくろ」
(1936年)
(金の星社)

 物語ではこの他にいじわるででしゃばりでいつもケイを目の敵にししており、事あるごとにケイの邪魔をする同級生エセル・イートンが敵役として登場し、ストーリーに緊張感を持たせてくれます。

 新聞記者だった父親譲りの鋭い推理力と勇敢で機敏かつ男の大人も顔負けの行動力が彼女の持ち味であり、そのようなたくましく自立した女性像がアメリカの少女たちに広く支持されている理由の一つだと思います。

 最初の刊行から数十年経ってから再版されたりもしており、母親から娘へと引き継がれて人気を保っている数少ないシリーズ作品の一つといえるでしょう。

 なお詳しくは海外のこちらのサイト様に他の少女探偵たちと一緒に特集されていますので、ご覧になってみて下さい。


■原作■

フランシス・K・ジャッド
(Frances K. Judd 米)


■人物ファイル■

年齢
16歳
職業
カーモント高等学校の学生(汽車通学)
住所
ブラントウッド郊外
協力者
親友の双子の姉妹ベティ&ウィルマ・ワース (Betty and Wilma Worth)
いとこの青年弁護士ビル・トレーシー (Bill Tracey)
母親のトレーシー夫人 (Kathryn Tracey)
ライバル
同級生のエセル・イートン (Ethel Eaton)
事件簿
18長編に登場

■事件ファイル■

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 仮装舞踏会の秘密 1934 金の星社 少女・世界推理名作選集12('62)
2 ふしぎな山びこ 金の星社 少女・世界推理名作選集18('64)
3 The Mystery of the Swaying Curtains 1935 -
4 The Shadow on the Door -
5 六本指の手ぶくろ
(六本指の手袋)
1936 金の星社 少女・世界推理名作選集3('62)
保育社 少年・少女探偵冒険全集12
6 The Green Cameo Mystery -
7 The Secret at the Windmill 1937 -
8 Beneath the Crimson Briar Bush
紅ばらの薮陰
保育社 少年・少女探偵冒険全集21
9 The Message in the Sand Dunes 1938 -
10 The Murmuring Portrait -
11 When the Key Turned 1939 -
12 In the Sunken Garden -
13 The Forbidden Tower 1940 -
14 The Sacred Feather -
15 The Lone Footprint 1941 -
16 The Double Disguise -
17 The Mansion of Secrets 1942 -
18 The Forbidden Tower -

【参考】海外サイト「Vintage Series Books for Girls」様
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