タイトル | 伯母の死 |
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原題 |
Death of My Aunt | ||
発表年 |
1929 | ||
著者/訳者/解説 |
C・H・B・キッチン/宇野利泰/編集部M | ||
カバーデザイン |
浜田稔 | ||
ページ数 |
189(巻末「『伯母の死』の占める位置」) | ||
あらすじ(解説文) |
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出版 |
早川書房 ハヤカワポケットミステリ270 |
こんなに苦いはずはないんだけど。でも、美しくあるには、いつも苦労がともなうもの─そう言いながら『ヴィナスの秘密』という強壮剤を飲み干したキャサリン伯母は、突然大きなうめき声をあげ、息絶えてしまった。キャサリン伯母は、マルコムの母方の長姉で、若くしてジョン・デニスという富豪に嫁し、彼がその莫大な財産を愛妻に残して死んだ後は、その財産を順調に増し、六十三歳の今は、ハンニバルという身元の知れぬ若い夫と再婚、一族の女王として君臨していた。 その唯一の遺産つき近親キャサリン伯母から、週末を彼女のオソ・ハウスで過すようにとの電報を受け取って、マルコムは驚いた。なぜ、伯母が急に僕などに会いたがるのか? 強い好奇心にとらわれて、彼は伯母のもとへ向かった。久し振りに会った伯母は、年齢こそ老けたものの気持はすっかり若返ったようで、気分も上々、株式仲買店に勤めるマルコムに株式についての相談をもちかけてきた。が、話は核心に触れたところで邪魔が入り、中断されてしまい、その直後、キャサリン伯母は『ヴィナスの秘密』を飲んで死んでしまったのだ……。 『伯母の死』は、1929年に発表されたものだが、はっきりと三十年後の本格探偵小説のたどりつく姿を示してい、イギリス本格探偵小説の系譜を説くにあたって忘れることの出来ない作品である。小説としても優れ、魅力ある謎も持っている、イギリス新本格派の先駆的作品とも言うべきものである。 | |
初版 |
1956年 | ||
重版 |
1983年再版(600円) | ||
入手 |
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ISBN |
4-15-000270-3 |