出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ 1012 |
眼が妙にチカチカするとチャーリーは思った。アンクルのパート・タイムの情報員であるチャーリーは、泥んこ道を眼をしょぼつかせながら車を走らせていた。眼をまばたきして首を振りながら、ようやく目的地の古ぼけた二階建ての農家のすぐ前まできた。
と、突然、眼に映ったものが一つのこらずチカチカしだした。車のヘッドライト、ダッシュボードの明り、家……何もかもがチラチラとし、映写機のフィルムが歯車からはずれたような感じだった。
次の瞬間、チャーリーは、自分の眼がどうにかしてしまったのかと思った。あたりの光がパッと消えたかと思うと、途端に眼の前の家がなくなっていた。そして、庭も消え去っていたのだ。車のヘッドライトの光芒に浮かんだのは、直径がほぼ100ヤード近くもある巨大な穴ばかりだった……!
チャーリーは、さっそくアンクル本部のウェーバリー課長に報告した。かくて、ウェーバリー課長は、半信半疑ながらも、アンクル一優秀なスパイ、ソロとクリヤキンを、急遽現場に派遣したのだが……。
またもや世界絶滅を策するスラッシュの新たな攻撃か、それとも? スリル、アクションがいっぱい─ますます熱を帯びるナポレオン・ソロ・シリーズ第12弾! |