出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ 1016 |
マンハッタンの中央部の道路は、車の列で動きがとれなかった。と突然、後方でクラクションが鳴り出したかと思うと、一台の黒塗りのセダンは大きな衝撃を受けて前に押し出され、そのはずみで前のスポーツ・カーにぶつかった。その瞬間、いきなり後部座席の青年が車から飛びだし、あっという間に車の列の中にもぐりこんだ。同席していた二人の屈強な男たちは直ちに後を追った。青年は人ごみをかき分けて進み、少し先の横丁に入った。とのまま真っすぐ突っ走り、最後のかどを曲ったところで『デル・フロリア─クリーニング業』と書いてある建物に入った。そこが初めからアンクル本部と分っている様子だった。彼は元スラッシュの一員だったといい、必死になって救いを求めた……一方、これとほぼ同じ頃、アンクルと非常に密接な関係にある高名な科学者が、アンクルを散々非難するという、常識では到底考えられないような事件が起きた。……
スラッシュ団員の一人がアンクルに寝返りをうち、アンクル配下の科学者が急に離反したというこの奇妙な事実は、果たして偶然の一致なのか?─あるいは、人類史上もっとも怖るべき機械をスラッシュは開発したのか? またも重大な使命を帯びて活躍するソロとクリヤキン! |