出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ 926 |
ブロンドの娘ウルスラ・ニーファースは黄金色の腕をのばし、レイを頭からとろうとした瞬間、明るい色のジンジャーに仕かけられた爆薬が爆発して、顔を吹きとばされた。叫ぶいとまもなかった。ピンク色のベッド越しに娘の死に行くさまを見たソロは、頭を振り事実を受け入れるのを拒んだ。レイに殺されるなどというのは、到底信じられないことだった。
首のない死体を見つめ、ソロは呆けたように立ちすくみ生唾を呑みこんだ。その間にも、訓練で培われた感覚が脳の隅で働き、この恐怖と殺人者への怒りからはやく立ち直らないと、娘と同じ運命を辿ることを警告していた。これまでにも、アンクルで働いている間に、人の死には何度となく出くわしたが、これほどのかわいらしい娘が、こんな無残な死に方をしたのを見たのは、はじめてだった。
ソロは金張りの電子時計に目をやり、機械的に時間を読んだ。スラッシュの新たな攻撃がかかってくるのは必至なのだ。ソロはからだのすみずみまで緊張させ、目に見えぬ敵の攻撃に身構えた……
矢継ぎばやに押し寄せる攻撃を必死に喰いとめ、スラッシュの世界転覆の野望を潰し去ろうと敢然と立ち向かうナポレオン・ソロ! 白熱のソロ・シリーズ第2弾! |