出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ 963 |
キャラバンは、肌に火ぶくれのできそうなヌビア沙漠のふちを通り、白ナイルを渡り、サハラ沙漠を横切って、今ようやく最後の難関、巨大な石灰岩の絶壁にむかう泥板岩の坂道を乗り越えようとしていた。象牙商人、駝鳥の羽根を売る商人、らくだで旅をする遊牧民、さらにはエクヮトリアの得体の知れぬ寺院へ参詣しに行く巡礼の一団─多種雑多な人間がより集った、延々と1マイルにもおよぶキャラバンが、焦熱地獄のような荒涼たる高原を突き進んでいく。
アメリカをはじめ、英国、ソ連各地から、頻繁にウラニウム235が盗まれている事実を重視したアンクル本部は、スラッシュがそのウラニウムをアフリカのどこかに運んでいるという情報をキャッチした。かくて、ナポレオン・ソロは、皮膚をよごし、警官を買収して、巡礼の一団にもぐっていたのだった。キャラバンのどこかに─商品の箱や商品見本、巻いた寝具や折りたたんだテントのなかに、かさは小さいがとてつもなく重い鉛製の罐、莫大なウラニウム235を入れた罐が入っているに違いないのだ……!
世界各国から盗んだウラニウムで、水爆を造り、世界転覆を企らむスラッシュの野望─それを未然に喰いとめようと必死に奮戦するソロとクリヤキン! 最新作! |