出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ 993 |
インド洋の夜明け。洋上のある無名の小さな島で、いま異変が起ころうとしていた。靄につつまれた山頂から煙の雲が立ちのぼり、閃光が下からそれを照らしている。火山の大爆発か?─が、そう思われた次の瞬間、山の中腹から異様なものが浮かびあがった。その物体は、有史以前の巨大な怪物が鎌首をもたげたような感じでキラキラ輝く円柱状の煙のなかに溶け込んだ。が、さらに一瞬後には、その基部がはっきりと見え、すさまじい滝のような炎が、それを上へ上へと押しあげた……明らかに、巨大な宇宙ミサイルの発射だった。
このことがあってからほどなく、地球の周りを旋回する巨大な人工衛星が確認された。地球をにらみつけ、何か次の行動を待っている様子の不気味な巨人衛星。しかし、アメリカもソビエトも、世界の国々はこそってこの衛星の打ち上げを否定した。
やがて、この無国籍の巨人衛星は日一日と人びとを恐怖のどん底に陥れていった。かくて、世界の平和と安全を守るアンクル本部は、この衛星の徹底的な調査に乗り出すことになったのである!
地球の危機を救うべく、インド洋に馳せ参じたソロとクリヤキンを待ちうける怖るべき罠! 趣向をこらしてますます快調のナポレオン・ソロ・シリーズ第9弾! |