アメリカの推理小説家で短編の名手でもあるヘンリイ・スレッサーの生み出したシリーズ・クリミナル。
数多くの短編を発表しているスレッサーにはシリーズ・キャラクターはほとんどいませんが、このマーチンスンものだけはスレッサーが看板作家として活躍した〈アルフレッド・ヒッチコック・マガジン〉の1957年9月号からとびとびに13編が掲載されました。
そしてスレッサー人気の高かった日本では、それらの短編のうち10編を集めて独自の短編集が刊行されています。
普段はマディスン街の大きな計理会社に勤め、大きな眼鏡をかけて帳簿の整理に追われる毎日ですが、そうやって仕事をしている間にも彼の頭脳は活発に働いていて、恐ろしい犯罪計画を練っています。
根は優しい善良な一市民の彼が、悪党を気取ってニューヨークのダウンタウンを舞台に詐欺、横領、恐喝のために彼が企てる奇想天外な計画と、皮肉な失敗談をいかにも気の弱そうな従弟がほのぼのとした雰囲気の中で語って聞かせてくれる、まさに大人のための童話のようなシリーズです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 快盗ルビイ・マーチンスン | 1960 | 早川文庫54-4(新装版) 早川文庫54-1 HPB609 |
日本で独自に編纂 | |
1 |
ルビイ・マーチンスン/初めての犯罪 |
1957 | ヒッチコックマガジン'59.8 | ||
2 | ルビイ・マーチンスン/詐欺師 | ヒッチコックマガジン'59.9 | |||
3 | ルビイ・マーチンスン/前科者 | 1958 | ヒッチコックマガジン'59.10 | ||
4 | ルビイ・マーチンスン/恋の唄 | ヒッチコックマガジン'59.11 | |||
5 | ルビイ・マーチンスンの婚約 | ヒッチコックマガジン'59.12 | |||
6 | ルビイ・マーチンスン/猫泥棒 | 1959 | ヒッチコックマガジン'60.1 | ||
7 | ルビイ・マーチンスンと野球小僧 | ヒッチコックマガジン'60.2 | |||
8 | ルビイ・マーチンスン/銀行破り | ヒッチコックマガジン'60.3 | |||
9 | ルビイ・マーチンスン/歯医者を狙え! | 1960 | ヒッチコックマガジン'60.7 | ||
10 | ルビイ・マーチンスン/毒のついた手紙 | ヒッチコックマガジン'61.1 | |||
2 | 最期の言葉 | 2007 | 論創社 ダーク・ファンタジー・コレクション6('07) | 日本で独自に編纂 全21編 |
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1 | ルビイ・マーチンスンと大いなる棺桶犯罪計画 (ルビイ・マーチンスンの棺桶事件) |
1961 | ヒッチコックマガジン'61.6 | ||
2 | ルビイ・マーチンスンの変装 | ヒッチコックマガジン'61.12 | |||
3 | ルビイ・マーチンスンの大いなる毛皮泥棒 (ルビイ・マーチンスン 毛皮を狙う) |
1962 | ヒッチコックマガジン'62.7 | ||
4 | ルビイ・マーチンスン、ノミ屋になる | 1967 |
【参考】「快盗ルビイ・マーチンスン」(早川書房 ハヤカワミステリ文庫)