それまで短編中心だった推理小説の世界ですが、1913年ベントリーの「トレント最後の事件」の大成功を機に、フィルポッツの「赤毛のレドメイン家」、ミルンの「赤い館の秘密」、メイスンの「矢の家」、ノックスの「陸橋殺人事件」、バークリーの「毒入りチョコレート事件」など、その後長編推理小説の名作が次々と発表されます。
また、この頃からクリスティー、ヴァン・ダイン、クイーン、カー、クロフツなど、その後の本格推理小説界を代表する巨匠たちが次々デビューしました。
これらの作家の代表作は多すぎて全部説明するのは大変ですが、クリスティーの「そして誰もいなくなった」や「アクロイド殺し」、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」、クイーンの国名シリーズや「Yの悲劇」、カーの「火刑法廷」、クロフツの「樽」、セイヤーズの「ナイン・テイラーズ」などは、どのアンケートでも上位にくる名作です。
この第一次大戦から1930年代後半にかけてにデビューした作家たちのことを黄金時代の作家と呼んでいます。