オーストラリアの大自然を舞台にした本格ミステリを発表

AUS アーサー・アップフィールド
(Arthur William Upfield)

ボニーと砂に消えた男
「ボニーと砂に消えた男」
(1931年)
(早川書房)

 イギリス生まれのオーストラリアの推理小説家。ハンプシャーで生まれますが小さい頃から一家の厄介者だったらしく、1911年に生まれ故郷のイギリスを離れて単身オーストラリアに移住します。

 オーストラリアに移住した後しばらくは、いろいろな職業に就くもののなかなか上手く行かず、ほどなく3年という歳月を費やしてオーストラリア大陸を放浪。その際オーストラリアの原住民アボリジニの人たちとも親交を深めますが、この経験が後の作家生活に大きく役立つことになります。

 その後第一次世界大戦で軍役につき、終戦後はイギリスで私設秘書の仕事をしたりしていましたが、再びオーストラリアに戻った頃に砂金発掘、真珠採集、毛皮取引などの仕事に就く傍ら、幌馬車の中で執筆活動を始めたといいます。

 彼の名を有名にしたのが自らの友人をモデルにしたというナポレオン・ボナパルト警部を主人公とした一連のシリーズで、1929年に「バラキー牧場の謎」を発表以来好評を博し、全部で29作品を残しています。

名探偵ナポレオン
「名探偵ナポレオン」
(1953年)
(東京創元社)

 彼の作品はオーストラリアの原住民の伝統や風俗、習慣を生き生きと描き、また広大な砂漠など、舞台となっているオーストラリアの大自然が鮮明に描写されていることから、アメリカの主要大学ではオーストラリア研究の必読書にされているという話もあるほどです。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、ハンプシャー生まれ
1911年にオーストラリアに移住
生没
1888年~1964年
作家としての経歴
1929
ナポレオン・ボナパルト警部初登場作「バラキー牧場の謎」を発表し注目を集める。以後毎年一冊ほどのペースで33冊の長編(うちボナパルト警部ものは29作品)を発表
1956
「2つの部族に属する男」でイギリス推理作家協会(CWA)賞のシルヴァー・ダガー賞を受賞
シリーズ探偵
ナポレオン・ボナパルト警部 (Inspector Napoleon Bonaparte)
代表作
「ボニーと砂に消えた男」「名探偵ナポレオン」
「2つの部族に属する男」

■著作リスト■

1 ナポレオン・ボナパルト警部登場作品リスト

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The House of Cain
(カインの館)
1928 - 処女作
2 The Beach of Atonement 1930 -
3 A Royal Abduction 1932 -
4 Gripped by Drought -
5 The Murcheson Murders 1934 -
6 Follow My Dust 1957 -
7 Breakaway House 1987 - 没後刊行された作品
8 The Great Melbourne Cup Mystery 1996 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Murchinson Murders 1987 - 犯罪実話集
1 The Murchinson Murders 1934 -
2 Patrolling the World's Longest Fence -
3 An Australian Camel Station -
4 Trapping for fur -

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