本人も奇術師として活躍
アメリカの本格作家。 彼の作品中で活躍する探偵は奇術師探偵グレート・マーリニですが、本人自身もおよそ50ものトリックを考案したアマチュアの奇術師で、舞台に上がる時の名前が他でもない”マーリニ”だったそうです。
大学を卒業後、しばらくはアートディレクターやイラストレーターとして働いていましたが、1938年、奇術師グレート・マーリニの活躍する長編第1作「帽子から飛び出した死」でミステリ作家としてデビューを果たします。
その作風は奇術師らしく、すべて視覚的・心理的盲点を突いた密室トリックや不可能犯罪をテーマにしており、不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーの作風にどこか似ていて、カーの好きな方はきっと気に入る作家だと思います。 実際ロースンはディクスン・カーとは大の親友であったらしく、二人はお互いにトリックについてのアイデアを交換し合ったりもしていたそうです。
ミステリ作家として活躍した期間は短く、1938年から1942年までの間に全部で4つの長編を発表し、それ以外では死後刊行された短編集が1冊とスチュアート・タウン名義でいくつかの作品を発表しています。
ロースンは作家としてよりもむしろ編集者としての活躍の方が目覚ましく、1959年には「イナー・サンクタム・ミステリ」の編集に携わり、1963年からはフレデリック・ダネイの要請を受けて、〈エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)〉の編集長を7年間務め、新しい才能あるミステリ作家を発掘することに尽力しました。
また、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)の創設にも関わり、それらの功績からMWA賞の特別賞も2度受賞しています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 虚空から現れた死 | 1941 | 原書房 ヴィンテージ・ミステリー・シリーズ('07) | スチュアート・タウン名義 邦訳はクレイトン・ロースン名義 |
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1 | 過去からよみがえった死 (甦った殺人鬼) |
別冊宝石111('62) | |||
2 | 見えない死 | ||||
2 | Death from Nowhere | 1943 | - | スチュアート・タウン名義 | |
1 | The Claws of Satan | - | |||
2 | The Enchanted Dagger | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Stand-In for a Kill | 1940 | - | |
2 | Mr. Mystery | - | ||
3 | The Man with the Radio Mind 電波の心を持つ男 |
1941 | HMM'98.10 | スチュアート・タウン名義 ミスター・ミステリ |
4 | The Ace of Death | 1942 | - | |
5 | The Man with X-Ray Eyes | 1944 | - | |
6 | どもりの六分儀の事件 | 1947 | 論創社 論創海外ミステリ97「エラリー・クイーンの災難」('12) | ベイナード・ケンドリックとの合作 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Unsuspecting 疑わざる者 |
HMM'98.10 |