アメリカ黄金時代の名バイプレーヤー
クレイトン・ロースンやC・デイリー・キング、スチュアート・パーマーらと並び称されるアメリカ本格黄金時代に活躍したミステリー作家。
カンザス州に生まれウォッシュバーン大学とミシガン大学で学んだ後1918年から19年にかけてイエール大学で陸軍通信隊訓練学校の助教授を経て1920年から29年にかけてはカンザスシティ・スター紙で編集補佐として勤務。その傍らいくつかの雑誌に短編小説などを寄稿しています。
その後アガサ・クリスティー、G・K・チェスタトン、F・W・クロフツ、ジョン・ロード、マイケル・イネスらの人気作家も手がける業界大手のドッド・ミード社が自国アメリカの有望な推理作家を発掘したいとの思いで開催した長編ミステリ・コンテスト〈レッド・バッジ・ミステリ大賞〉に応募。見事に第1回受賞者となり、1937年に「The Affair of the Scarlet Crab」で作家デビューを果たします。
そしてこの作品は好調な売れ行きを記録し、以後は作品タイトルがすべて”The Affair...”ではじまる英文学教授ハント・ロジャーズを探偵役に据えたシリーズで人気を博しました。
ちなみにこのシリーズのいくつかの作品には、C・デイリー・キングばりに事件解決の手がかりが何ページ目にあったかをリストにしたいわゆる”手がかり索引”が添付されているのが大きな特徴です。
第二次世界大戦後はエラリー・クイーンやパトリック・クェンティンと同様、黄金時代の終焉から戦後にかけてのアメリカ・ミステリ界の時代の流れもあってサスペンス色の濃い作風に変化します。そしてこの時期に発表された作品の中では長編「美女と金猫」が代表作として知られ、1950年に邦訳もされています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Affair of the Scarlet Crab | 1937 | - | |
2 | ミステリ講座の殺人 | 原書房 ヴィンテージ・ミステリー・シリーズ('07) | ||
3 | The Affair of the Ginger Lei | 1938 | - | |
4 | The Affair at Palm Springs | - | ||
5 | The Affair of the Black Sombrero | - | ||
6 | The Affair on the Painted Desert | 1939 | - | |
7 | The Affair in the Death Valley | 1940 | - | |
8 | The Affair of the Circus Queen | - | ||
9 | The Affair of the Skiing Clown | 1941 | - | |
10 | The Affair of the Crimson Gull | - | ||
11 | The Affair of the Limping Sailor | 1942 | - | |
12 | The Affair of the Splintered Heart | - | ||
13 | The Affair of the Fainting Butler | 1943 | - | |
14 | The Affair of the Jade Monkey | - | ||
15 | The Affair of the Dead Stranger | 1944 | - | |
16 | The Affair of the Corpse Escort | 1946 | - | |
17 | The Affair of the Golden Buzzard | - | ||
18 | The Affair of the Sixth Button | 1947 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Dark Abyss | 1949 | - | |
2 | Hangman's Choice | - | ||
3 | 美女と金猫 | 1950 | 三都書房('50) | クリホード・ナイト サスペンス |
4 | The Dark Road | 1951 | - | |
5 | Death of a Big Shot | - | ||
6 | Death and Little Brother | 1952 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Tommy of the Voices | 1918 | - | Clifford Reynolds Knight名義 |
【参考】「ミステリ講座の殺人」(原書房 ヴィンテージ・ミステリー・シリーズ)