タイトル | 恐怖の背景 |
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原題 |
Uncommon Danger (米 Background to Danger) | ||
発表年 |
1937 | ||
著者/訳者/解説 |
E・アンブラー/平井イサク/江戸川乱歩 | ||
カバーデザイン |
永田力 | ||
ページ数 |
194(巻末「アンブラー再説」) | ||
あらすじ(解説文) |
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出版 |
早川書房 ハヤカワポケットミステリ116 |
第一次大戦当時、スパイ小説は夥しく生産されたが、サマセット・モームの「アシェンデン」(1928)その他少数の例を除いて殆んどこれと云うものもなかった。これに反して、第二次大戦中には多くの優れたスパイ小説が現われ、一つの潮流となって、戦後のサスペンス小説、心理的スリラー流行の端緒をつくる大きな機縁となったのだが、この新傾向は先ずイギリスに於いて、アンブラーの「恐怖の背景」を先駆者として起ったものであった。 国際政局の裏面には、各国産業界巨頭の暗躍が国際政治の動きと密切に結びつき、公表せられざる種々の重大なカラクリが潜んでいる。アンブラーはこの事情の機微に精通した知識と卓越した見識とをもって、作中に政治論経済論が点綴され、作品をリアルな、重厚なものにしている。従来のスパイ小説と異るところは、主人公がオップンハイム流の英雄ではなくて、欧州小国をさまよい歩く国際的新聞記者がふとしたことから相対立するスパイ網にまきこまれ、命がけの冒険をするダイナミックな物語となっているところである。同じ作者の手になる「デミトリオスの棺」と共に、大人の読物と云うことができるであろう。ル・キュー、オップンハイム等とは格段の相違がある。 |
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初版 |
1953年 | ||
重版 |
1954年3版(150円) | ||
入手 |
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ISBN |
なし |