ふとった神の死 タイトル

ふとった神の死

原題

Death of a Fat God

発表年

1966

著者/訳者/解説

H・R・F・キーティング/永来重明/H

カバーデザイン

勝呂忠

ページ数

304(巻末「しろうと探偵、エマ・クラッグス夫人の活躍」およびキーティングの著作リスト)

あらすじ(解説文)

出版

早川書房
ハヤカワポケットミステリ1077
「あたしだって何も好きこのんで流血の惨事なんか見たくないわ」楽屋の掃除をしながら、ミルホーン夫人はクラッグス夫人に盛んに話しかけていた。「そんなことは、あたしの性分からいっても、見るに忍びなくてよ。でもあの機械をみていると、何かが起りそうな気がしてならないのよ」
その機械、〈ふとった神〉が地上に降り立つための金色燦然たる雲型の車はオペラ『巨神の死』の初日を数日に控え、活気に満ちたフリニッチ劇場の舞台を見下ろしていた。一方、舞台稽古はとどこおりなく進んでいた。牧童と鵞鳥飼いの二重唱が終わると、今度の公演の主役に一躍抜擢されたメリー・アーサーが、寺院の入口、ちょうど神の車の真下に姿を現わし、無伴奏の長い曲節をひとくさり歌うことになっていた。
メリーは歌いはじめた。カナリアのように可愛いソプラノが拡声器をつうじて楽屋にも流れてきた。すっかり魅了されたミルホーン夫人は、ポカンと口を開けて聴き入っていた。その時である、拡声器から流れる声がぷつんと切れた。と同時に、なにやら鈍い、大きな物が落ちたようなどすんという音がした。ソプラノの歌は完全に止み、それきりあたりはしんと静まりかえった。……初日を控え、あわただしいオペラ劇場に起きた悪夢のような殺人事件を描いた本格ミステリの秀作!

初版

1969年(430円)

重版

入手

絶版

ISBN

4-15-001077-3

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