現代アメリカの本格推理小説家。マサチューセッツ州のボストンに生まれ、ボストン大学を卒業後は高校教諭や大学の助教授など、主に教師として働いていましたが、その傍ら執筆活動にも勤しみ、1947年に短編「九マイルは遠すぎる」を〈エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン(EQMM)〉の短編コンテストに応募して見事に入選を果たします。
そしてそれを機に8作のニッキー・ウェルト教授を主人公とする短編を何とその後20年もの長い年月をかけて発表することになるのですが、やたらと出版社の要望で短編を書かされたりする日本の推理小説業界の事情を考えると、このような悠々たる仕事ぶりはうらやましい限りでもあります。
この大学教授ニッキー・ウェルト教授の活躍する短編シリーズは、隅の老人やブロンクスのママなどと並び、安楽椅子探偵ものの傑作として位置づけられているシリーズです。
純粋に古典的な謎解き小説のスタイルをを貫いたその作品群の数々は、本格ファンから高い評価を受け、短編集としてまとめられた「九マイルは遠すぎる」もクイーンの定員に選ばれています。
その他にもユダヤ教僧侶ラビ・デイヴィッド・スモールを主人公とした長編シリーズを11作発表していますが、このラビ・シリーズの方は、ユダヤ社会を写した小説として非常に高く評価されています。
ちなみにこちらは著者自身、当初はユダヤ人社会を描いた普通小説として「寺院の建物」の題名で発表するつもりだったらしいのですが、出版社に拒否され編集者の忠告で新たに書き直し、ラビを主人公とするミステリー長編になったと言われています。
G・K・チェスタトンのブラウン神父やH・H・ホームズのウルスラ修道尼とともに僧職探偵として有名ですが、どちらかといえば宗教色の強い作品であり、ユダヤ人の多いアメリカでは高い評価を得ていますが、ユダヤ教にあまり馴染みのない日本においては充分に理解されたとは言えず、邦訳も途中でストップしてしまったのが残念ではあります。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Common Sense in Education | 1970 | - | ノンフィクション |