ジェフリー・ディーヴァー
（Jeffery Wilds Deaver）
〔別名　ウィリアム・ジェフリーズ(William Jefferies)〕

　アメリカのミステリー作家。ウィリアム・ジェフリーズ名義でも作品を発表しています。主にサスペンス・犯罪小説に類する作品を発表し、2011年からはいわゆる”ボンド作家”として００７ことジェームズ・ボンドを主人公とするスパイ小説も執筆しています。

　イリノイ州のシカゴ郊外にて広告コピーライターの父親と専業主婦の母親の間に生まれ、少年時代から書くことに興味を持ち初めて小説を書いたのは11歳の時だったといいます。

　その後ミズーリ大学に進学しジャーナリズムを専攻し学士号を取得して雑誌記者となりますが、ほどなく法律を学ぶためフォーダム・ロー・スクールに入学。卒業後はニューヨーク・マンハッタンのウォール街にある大手法律事務所で弁護士として活躍します。

　そしてこの頃から作家を志すようになり、長い通勤時間を利用して執筆活動を開始すると1988年にまずホラー小説「VooDoo」でデビュー。これはあまり話題になりませんでしたが更に同年レンタルビデオ店で働くルーンという愛称を持つ女性店員を主人公にした長編「汚れた街のシンデレラ」を発表すると、これが翌1989年のアメリカ探偵作家クラブ（ＭＷＡ）賞のペイパーバック賞にノミネートされて一躍注目を集めます。

　翌1990年、40歳の時に弁護士を辞めて専業作家に転身し、1992年にウィリアム・ジェフリーズ名義で発表した映画のロケーション・スカウトのジョン・ペラムの活躍する長編「シャロー・グレーブス（死を誘うロケ地）」で再びＭＷＡ賞にノミネートされると、1994年に発表した精神病院から脱走した復讐鬼を追い詰めていくサイコサスペンスもののノンシリーズ長編「眠れぬイヴのために」をきっかけに大ブレイク。更に1995年には聾唖学校を舞台に人質を取り立て籠もる脱獄囚とＦＢＩとの対決を描いた長編「静寂の叫び」を発表し、緊迫のサスペンスと結末の大どんでん返しが読者に大きな衝撃を与え一躍人気作家の仲間入りを果たしたのでした。

　1997年には元ＮＹ市警科学捜査本部長でありながら事故が原因で四肢が麻痺し首の上と左手の薬指しか動かせないという、文字通りの安楽椅子探偵リンカーン・ライムの活躍する長編「ボーン・コレクター」を発表。たちまち人気を博して1999年には映画化もされるなど、一番の人気シリーズとして以後も続編を書き続けている他、短編の名手としても知られていて短編「ウィークエンダー」でイギリス推理作家協会（ＣＷＡ）賞の最優秀短編賞を受賞し、「ストーカー」「トライアングル」の２つの短編でもＭＷＡ賞の短編賞にノミネートされています。

　現在は世界的なベストセラー作家として25か国以上で翻訳され、日本でも早川書房や文藝春秋を中心に大半の作品が邦訳され人気を集めています。

　またコナン・ドイルのシャーロック・ホームズやイアン・フレミングの００７シリーズの熱心なファンでもあるらしく、それもあってか2011年にはジョン・ガードナー、レイモンド・ベンスンに続くボンド作家として００７シリーズの小説を執筆しています。

　ちなみに実妹のジュリー・Ｒ・ディーヴァーも小説家で、その一方で画家として活躍しており兄の小説の挿絵を担当しています。