弁護士として法廷でも活躍
イギリスのミステリー作家。作家としてだけでなく弁護士・バリスターとしてイギリスの法曹界でよく知られた存在であり、また劇作家として多数の戯曲や脚本も手がけるなど幅広い分野で活躍しています。
ロンドンで父親が法曹の世界でバリスターとして活躍していた家に生まれ、父親の意向もあってオックスフォード大学を卒業し法学院に進んだ後1948年に法廷弁護士の資格を取得して弁護士となります。そして1970年にアングラ雑誌〈オズ〉の猥褻図画販売事件で被告側の弁護を買って出て、一貫して表現の自由を主張。裁判では敗れたものの一躍名を馳せたのでした。
また1966年には王室の勅撰弁護士に、1975年には所属するインナー・テンプル法学院の評議員も務めるなど、法曹の世界で順調にキャリアを積んでいきました。
しかし元々作家志望だったこともあり、それらの多忙な業務の傍ら早くから小説やドラマ脚本などの執筆活動を展開。1940年代より小説をはじめ舞台やテレビ、ラジオや映画の脚本など、幅広居分野で精力的に活動しました。
はじめは小説より脚本がメインだったらしく、代表作に実父との確執に材をとった自伝的な戯曲「父親をめぐる航海」(A Voyage Round My Father)がありますが、彼の名前を特に有名にしたのが、法廷弁護士ホレス・ランポールを主人公とした短編シリーズでした。
ランポール弁護士シリーズは元々は1975年にランポール弁護士が当時中堅脚本家だった著者の手により、BBC放送の〈今日のドラマ〉連作シリーズの一作として単発のテレビドラマが放映されたのが最初でしたが、イギリスのユーモア作家の巨匠P・G・ウッドハウスを彷彿とさせるようなユーモアとペーソスに満ち溢れた作風と風変わりで個性的な弁護士を登場させた同作品は大変な好評を博し、続いてテムズ・テレビジョンによりシリーズドラマ化されて一躍人気作品となったのでした。
初のTV放映から3年後の1978年には台本を脚本化した第1短編集「ランポール弁護に立つ」が刊行され、以後30年にわたって書き続けられ、70を超える作品が発表されています。
その他にもテレビ番組ではイーヴリン・ウォーの名作「ブライズヘッドふたたび」のテレビ化、映画脚本ではダスティン・ホフマンとミア・ファローの共演の「ジョンとメリー」やウラジーミル・ナボコフ原作の「マーシェンカ」などの傑作を世に送り出しています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Paradise Postponed | 1985 | - | |
2 | Titmuss Regained | 1990 | - | |
3 | The Sound of Trumpets | 1998 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Rapstone Chronicles | 1991 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Charade | 1947 | - | |
2 | Like Men Betrayed | 1953 | - | |
3 | The Narrowing Stream | 1954 | - | |
4 | Summer's Lease | 1988 | - | |
5 | 告発者 | 1992 | HPB1681 | |
6 | Under the Hammer | 1994 | - | |
7 | Felix in the Underworld | 1996 | - | |
8 | Quite Honestly | 2005 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Edwin and Other Plays | 1984 | - | |
2 | Thou Shalt Not Kill: Father Brown, Father Dowling and Other Ecclesiastical Sleuths | 1992 | - | ブラウン神父のG・K・チェスタトン、ダウリング神父のラルフ・マキナリーの作品などを併録 |
3 | A Programmed Christmas Carol | 1994 | - | |
4 | The Scales of Justice | 2005 | - | 小冊子 |
5 | Collected Plays | 2006 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Laura Norder ローラ・ノーダー |
HMM'97.10 |
No. | 事件名 | 発表年 | DVD | 備考 |
1 | Ferry to Hong Kong | 1959 | - | Lewis Gilbert&VernonHarrisとの合作 |
2 | The Innocents (回転) |
1961 | - | Truman Capote&William Archibaldとの合作 |
3 | Guns of Darkness (暗黒の銃弾) |
1962 | - | |
4 | The Running Man (逃げる男) |
1963 | - | |
5 | Bunny Lake Is Missing (バニー・レークは行方不明) |
1964 | - | 妻ペネロープとの合作 監督・オットー・プレミンジャー 主演・ケア・ダレー |
6 | A Flea in Her Ear (パリの秘めごと) |
1967 | - | 監督・ジャック・シャロン 主演・レックス・ハリソン |
7 | John and Mary ジョンとメリー |
1969 | 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント('91・'93)(ビデオ) | 監督・ピーター・イエーツ 主演・ダスティン・ホフマン |
8 | Bermondsey | 1971 | - | |
9 | Maschenka (マーシェンカ) |
1987 | - | 監督・ジョン・ゴールドシュミット 主演・ケアリー・エルウィス |
10 | ムッソリーニとお茶を | 1998 | ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン('06) | 監督・フランコ・ゼフィレッリ 主演・シェール、ジュディ・デンチ |
11 | ドン・キホーテ ~ラ・マンチャの男~ | 2000 | パイオニアLDC('02) | 監督・ピーター・イエーツ 主演・ジョン・リスゴー |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Great Law and Order Stories | 1990 | - | |
2 | The Oxford Book of Villains | 1992 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Clinging to the Wreckage | 1982 | - | 自伝 |
2 | Murderers and Other Friends: Another Part of Life | 1994 | - | 自伝 |
3 | The Summer of a Dormouse: A Year of Growing Old Disgracefully | 2000 | - | 自伝 |
4 | Where There's a Will | 2003 | - | 自伝 |
5 | Zerah Colburn the Spirit of Darkness | 2005 | - | - |
6 | In Other Words | 2008 | - | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ディック・フランシスとの会見 | 早川書房「ディック・フランシス読本」('92) |