ジョンストン・マッカレー
(Johnston McCulley)
〔別名　ハリントン・ストロング (Harrington Strong)〕

「地下鉄サム」
（東京創元社）

　アメリカの大衆作家。高校時代に歴史に興味を持ち、歴史小説を書き始めたのが作家になるきっかけだったといいます。

　高校卒業後新聞記者、海外特派員を勤めた後、専業の作家となり、本名やハリントン・ストロング、ジョージ・ドレイン、レイリー・ブライアンなどのペンネームを用いてアクション小説やオリジナル映画の創作などを手がけました。

　作家として名声を博するようになったのは”サム”という名前の、気は強いが人情には弱いという地下鉄専門のスリが活躍するユーモアたっぷりの短編シリーズを発表するようになってからでした。

　この〈地下鉄サム〉のシリーズは1918年頃からアメリカの〈ディテクティヴ・ストーリー・マガジン〉に発表され好評を得ます。

　日本でも雑誌〈新青年〉で多くの邦訳がなされ大好評だったらしく、あの「羅生門」や「蜘蛛の糸」などで有名な小説家の芥川龍之介もマッカレーの愛読者だったそうです。

「快傑ゾロ」
（1920年）
（東京創元社）

　謎解きなど本格の要素は薄いものの、ユーモア溢れるその作品群は人気アニメ〈ルパン三世〉を彷彿とさせるような印象を与えてくれるものと思います。

　またマッカレーは、〈地下鉄サム〉のシリーズ以外にも、1974年にアラン・ドロン主演の映画「アラン・ドロンのゾロ」をはじめとして何度も映画化されている「快傑ゾロ」の原作者としても知られています。

　黒いソンブレロに黒いマスク、駿馬を駆って飛び回るゾロの姿は映画人からの受けも良いようで、古くは1920年にダグラス・フェアバンクス主演で映画化されていて、40年のタイロン・パワー、それから58年と81年にも映画化と、何度もＴＶドラマ化も含めて映像化されています。

　最近では1998年にこの作品をベースにしてアンソニー・ホプキンス主演「マスク・オブ・ゾロ」が公開され話題を呼びました。

■作家ファイル■

出身地

アメリカ（カナダのオタワ生まれ）

生没

1883年2月2日～1958年11月23日

作家としての経歴

1908

処女作「失われた希望の土地」で作家としてデビュー

1918

ニューヨーク滞在中に探偵小説専門誌〈ディテクティヴ・ストーリー・マガジン〉に空いた原稿の穴を埋めるために書いたという〈地下鉄サム〉の短編「Thubway Tham's Inthane Moment」が好評を受け、以後シリーズ化し180以上の作品を発表

1920

「カピストラノの疫病神（のち「快傑ゾロ」に改題）」を刊行。世界20カ国以上で5000万部を売り上げる人気ぶりを博する
同年映画化（その後も40年、58年、74年、81年、98年と映画化されている）

シリーズ探偵

地下鉄サム (Thub-Way Tham)
ブラック・スター (Black Star)
赤い道化師（クリムゾン・クラウン） (The Crimson Clown)
ザ・サンダーボルト (The Thundebolt)
ザ・スパイダー (The Spider)

代表作

「地下鉄サム」（日本独自の短編集）
「快傑ゾロ」「双生児の復讐」

■著作リスト■

１　地下鉄サム登場作品リスト

２　ブラック・スター登場作品リスト

３　赤い道化師（クリムゾン・クラウン）登場作品リスト

４　ザ・サンダーボルト登場作品リスト

５　ザ・スパイダー登場作品リスト

６　その他の作品

【長編】

【短編集】

【参考】「怪傑ゾロ」（東京創元社　創元推理文庫）

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