イギリスの作家。アイルランドのダブリンに生まれ、大学を卒業の後は劇作家として活躍していました。
その後第一次世界大戦中が始まると英国情報部や機関銃部隊に所属し、戦後は作家に転身。当初はアントニイ・ワートン名義で普通小説を発表しましたが、やがてリン・ブロック名義でイギリスのコリンズ社より探偵作家としてデビューし、錯綜したプロットが売りものの本格ミステリが好評を博して一躍人気作家となります。
彼の人気を決定的にしたのは、彼と同じ元軍人で、ロンドンで探偵事務所を開くウィッカム・ゴア大佐のシリーズでした。ゴア大佐は42歳の元軍人で、退役後はドキュメンタリー映画の製作のためアフリカへと渡り、その方面で著作も残すなどの活躍を見せていました。
そんな彼が9年ぶりに母国イギリスに戻った際、招待された幼馴染みの家で事件に巻き込まれる所から、物語は始まります。
このゴア大佐シリーズは日本でも戦前戦後を通じて何度か全集や選集の刊行予告に名前が挙がったこともありましたが、結局邦訳はならず、ファンの間では幻の作家・作品として長い間名のみ知られていたシリーズです。
家庭内の悲劇を情感たっぷりに描き出す所はロス・マクドナルドのリュウ・アーチャー・シリーズを彷彿とさせ、また恋愛やメロドラマ的な要素も織り交ぜながらも、本格ミステリとして高い完成度を保っている作品が多いのが大きな特徴です。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Deductions of Colonel Gore (The Barrington Mystery) |
1924 | - | |
2 | Colonel Gore's Second Case | 1925 | - | |
3 | 醜聞の館 ─ゴア大佐第三の事件 |
1927 | 論創社 論創海外ミステリ22('05) | |
4 | The Slip─Carriage Mystery | 1928 | - | |
5 | The Mendip Mystery (米 Murder at the Inn) |
1929 | - | |
6 | Q.E.D. (米 Murder on the Bridge) |
1930 | - | |
7 | The Stoat: Colonel Gore's Queerest Case | 1940 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Silver Sickle Case | 1938 | - | |
2 | Fourfingers | 1939 | - | |
3 | The Riddle of the Roost | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Two of Diamonds | 1926 | - | アントニイ・ワートン名義 |
2 | The Dagwort Coombe Murder (米 The Stoke Silver Case) |
1929 | - | |
3 | Nightmare | 1932 | - |