UK リチャード・ハル
(Richard Hull)

伯母殺人事件
「伯母殺人事件」
(1934年)
(東京創元社)

 イギリスの作家で「伯母殺人事件」の著者。 「伯母殺人事件」は、黄金時代の作家アントニイ・バークリーがフランシス・アイルズ名義で発表した「殺意」、同じく黄金時代の代表的作家F・W・クロフツの発表した「クロイドン発12時30分」とともに〈倒叙三大名作〉の一つに挙げられています。

 高校卒業後第一次大戦に召集され、陸軍歩兵大隊・機関銃隊に所属。その後1920年初頭から勅許会計士の事務所に勤務して、やがて独立して会計士事務所を設立します。

 作家になったのはフランシス・アイルズの「殺意」を読んで感銘を受けたからだそうで、こうして書かれたのが1934年に発表された「伯母殺人事件」でした。
以後は会計士として活躍しながら、その傍ら20年間で15編の長編を発表しています。

 ハルの作風は技巧を凝らした叙述トリックと独特のブラック・ユーモアが特徴と言われています。諷刺の効いたジョークはアントニイ・バークリーと共通するものがあり、どちらもひと癖もふた癖もある作家といえるでしょう。


■作家ファイル■

本名
リチャード・ヘンリー・サンプスン(Richard Henry Sampson)
ハルは母方の姓
出身地
イギリス、ロンドン
学歴
ラグビー校卒
生没
1896年~1973年
作家としての経歴
1934
倒叙推理小説として名高い処女長編「伯母殺人事件」を発表
その後毎年約一冊のペースで作品を発表する
シリーズ探偵
フェーンビー警部 (Inspector Fenby)
代表作
「伯母殺人事件」
「他言は無用」

■著作リスト■

1 フェンビー警部登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Murderers of Monty 1937 -
2 善意の殺人 1938 原書房 ヴィンテージ・ミステリー・シリーズ('06)

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 伯母殺人事件
(伯母殺し)
1934 創元推理文庫125-1
早川文庫86-1
HPB359
東京創元社 世界推理小説全集64('57)
倒叙三大名作の一つ
乱歩の1935年以降の長編ベスト10・2位
2 他言は無用 1935 創元推理文庫125-2
3 Murder Isn't Easy 1936 -
4 The Ghpst It Was -
5 And Death Came Too 1939 -
6 My Own Murderer
(わたしを殺した者)
1940 -
7 The Unfortunate Murderer 1941 -
8 Lest-Handed Death 1946 -
9 Last First 1947 -
10 Until She Was Dead 1949 -
11 A Matter of Nerves
(神経の問題)
1950 -
12 Invitation to an Inguest -
13 The Martineau Murders 1953 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Mrs. Brierley Supplies the Evidence
誘導訊問
(語るに落ちる)
EQMM'61.10
EQMM'58.2

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