コンビで数多くのミステリードラマを発表

USA リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(Richard Levinson and William Link)

刑事コロンボ完全捜査記録icon
「刑事コロンボ完全捜査記録」
(2006年)
(宝島社)

 若い頃からコンビで作品を発表したアメリカの脚本家・TVプロデューサーで、超人気TVシリーズ〈刑事コロンボ〉の生みの親。

 二人は中学校時代からの親友だったそうで、共通する趣味を持っていたことから仲良くなった二人はともにチェルティナム高校へと進学。そこで選挙をめぐるドタバタ劇を描いたミュージカル「Election Time」を執筆し、これが街を挙げての大興行となる大成功と収めたといいます。

 それから二人は大学も同じペンシルベニア大学に進学し、その頃から短編ミステリを〈エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)〉に投稿するようになります。そして何度か不採用の苦労を味わった後、1954年には「Whistle While You Work(口笛を吹いて働こう)」という短編が採用されて初めての商業誌デビューを飾ります。

 その後は雑誌に短編を投稿したり、TVやラジオドラマの脚本や台本を数多く手がけて徐々に脚本家としての地位を確立していきますが、やがて1968年になると初の刑事コロンボ作品である「殺人処方箋」が単発ドラマとして放映されます。

シャーロック・ホームズ殺人事件
「シャーロック・ホームズ
殺人事件」
(1984年)
(東京創元社)

 この作品は元々は1960年に「Enough Rope」というタイトルで放映された60分ドラマとして書かれたものがが最初で、その後1962年に舞台版の作品として再構成された後、更にテレビ用に書き直されたものですが、これが非常に高い視聴率を記録し、3年後にパイロット版として「死者の身代金」が放映された後シリーズ化が決定します。

 そして1971年9月の「構想の死角」から1978年の「策謀の結末」まで、約10年の長きにわたって全45作品が作られました。

 その後1989年から再び新シリーズがスタートし、2003年までに24作品が放映されていて、日本でもほとんどの作品が日本テレビ系の〈金曜ロードショー〉の枠内で放映されています。 30年以上にわたる息の長いシリーズですが、その間ずっとコロンボ役はピーター・フォークが務めています。

 また1975年から放映された「エラリー・クイーン・ミステリー」シリーズや、1984年から続いている「ジェシカおばさんの事件簿」のシリーズもこの二人の手によるものです。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ
学歴
ニューヨーク州ペンシルベニア大学
生没
リチャード・レビンソン(Richard Levinson)(1934年8月7日~1987年3月12日)
ウィリアム・リンク(William Link)(1933年12月15日~)
作家としての経歴
1954
20歳の時に短編ミステリ「Whistle While You Work(口笛を吹いて働こう)」が〈エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)〉に掲載されて作家デビューを果たす
その後、脚本家・TVプロデューサーとして活躍し、多くの作品を手がける
1968
刑事コロンボの第1作「殺人処方箋」をパイロット版として放映、その後1971年にもう1本のパイロット版「死者の身代金」が放映される
1971
NBCの〈NBCミステリー・ムービー〉という枠内で、刑事コロンボ・シリーズ化第1作「構想の死角」が放映され、以後1978年までにパイロット版2作を含め計45作品が作られる
1987
R・レビンソンが死去
1989
ABCの〈ミステリー・ムービー〉の枠内で刑事コロンボの新シリーズ「新・刑事コロンボ」がスタート
シリーズ探偵
刑事コロンボ (COLUMBO)
ジェシカ・フレッチャー(ジェシカおばさん) (Jessica Fletcher)
代表作
【刑事コロンボ】
「二枚のドガの絵」「別れのワイン」
「忘れられたスター」

■作品リスト■

1 刑事コロンボ登場作品リスト

2 ジェシカ・フレッチャー登場作品(ジェシカおばさんの事件簿)リスト

3 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Fineman 1972 -
2 The Playhouse 1985 -

【短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Whistle While You Work
(口笛を吹いて働こう)
1954 -

【評論】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Stay Tuned 1981 -
2 Off Camera 1986 -

【ミステリー・ドラマ三部作】

No. 事件名 発表年 ビデオ 備考
1 殺しの演出者 1979 ポニーより発売(絶版)
2 殺しのリハーサル 1982 -
3 Guilty Conscience 1985 -

【TVシナリオ(シリーズ)】

No. 事件名 発表年 ビデオ 備考
1 名探偵ダイヤモンド 1957 -
2 早撃ちリンゴー 1959 -
3 南海の冒険 -
4 ジューン・アリスンと共に -
5 探偵マイケル 1960 -
6 第三の男 -
7 ドクター・キルデア 1961 -
8 西部のチャンピオン 1962 -
9 逃亡者 1963 -
10 バークにまかせろ -
11 ザ・ローグス・泥棒貴族 1964 -
12 ハニーウェスト 1965 -
13 ジェリコ 1966 -
14 鬼探偵マニックス 1967 - ストーリーまたはキャラクター
15 ネーム・オブ・ザ・ゲーム 1968 -
16 バナチェック登場 1972 - ストーリーまたはキャラクター
17 Tenafly 1973 -
18 エラリー・クイーン 1975 - ミステリー
19 Stone 1979 - ストーリーまたはキャラクター
20 Blacke's Magic 1986 - ストーリーまたはキャラクター

【TVシナリオ】

No. 事件名 発表年 ビデオ 備考
1 Enough Rope 1960 -
2 ヒッチコック劇場 1961 -
3 ヒッチコック・サスペンス 1963 -
4 イスタンブール特急 1968 -
5 Trial Run 1969 - ストーリーまたはキャラクター
6 The Whole World Is Watching -
7 いとしのチャーリー 1970 -
8 精神科医 - ストーリーまたはキャラクター
9 警部マクロード/ミス・アメリカ殺人事件 -
10 青とピンクの紐 1971 - テッド・レイトン名義
11 保安官補サム・ヒル -
12 Two on Bench -
13 黒薔薇の女 1972 -
14 That Certain Summer -
15 Partners in Crime 1973 - プロデュースのみ
16 死を呼ぶスキャンダル -
17 ザ・ガン/運命の銃弾 1974 -
18 兵士スロビクの銃殺 - ドキュメント・ドラマ
19 A Cry for Help 1975 - プロデュースのみ
20 エラリー・クイーン/美人ファッションデザイナーの冒険 -
21 縛り首の夜 1977 - プロデュースのみ
22 The Storyteller -
23 アーカンソー物語 1981 -
24 Darkroom - ストーリーまたはキャラクター
25 Take Your Best Shot 1982 -
26 メカノイド2VR 1983 -
27 The Murder of Sherlock Holmes 1984 - ストーリーまたはキャラクター
28 ガーディアン -
29 消えた花嫁 1986 -
30 Hard Copy 1987 - ストーリーまたはキャラクター
31 アメリカの選択 1988 フォース・テンより発売(絶版) 二人の最後の合作作品
32 運命に燃えて 1991 - リンク単独作

【映画脚本】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ヒンデンブルグ 1975 -
2 ジェット・ローラー・コースター 1977 -
3 ハンター 1980 - テッド・レイトン名義

【戯曲】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Election Time 1952 - ミュージカル
2 殺人処方箋 1962 - 刑事コロンボの原型
3 Guilty Conscience 1980 -
4 Merlin 1983 - ミュージカル
5 Killing Jessica 1986 -

【参考】「刑事コロンボ レインコートの中のすべて」(角川書店)
「刑事コロンボ完全捜査記録」(宝島社 別冊宝島)
「歌う死体」(二見書房 二見文庫)
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