「一ペニーでパズルを」
イギリスの推理小説界で1936年から1941年にかけて、「一ペニーでパズルを」をキャッチフレーズに8冊の長編推理小説を発表して忽然と姿を消したミステリー作家。エラリー・クイーンを思わせるような〈読者への挑戦状〉を挿入し、一貫してパズル色の濃い作品を発表し続けました。
フェアプレイ精神にあふれたその作品群は当時のイギリスでも評判を呼んだようですが、今日では既に母国でも忘れ去られた作家のようです。
この点従来は生年・経歴なども不詳の謎の推理作家とされてきましたが、最近になって彼の子息により少し経歴が判明し、コーンウォールに生まれ第二次世界大戦中はロンドン北部ブレッチェリーの英国政府暗号学校で働き、戦後もその後身である政府通信本部(GCHQ)に勤務し、1968年に引退。園芸好きで2年間英国花菖蒲協会の会長も務めていたこともあったといいます。
作家としての経歴は、1936年にルーパート・ペニー名義で「The Talkative Policeman (おしゃべりな警官)」を発表後1941年までに8冊の本格ミステリを発表している他、マーティン・タナー (Martin Tanner) 名義でもスリラー作品を2つ発表しているとのことです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Talkative Policeman (おしゃべりな警官) |
1936 | - | |
2 | Policeman's Holiday | 1937 | - | |
3 | Policeman in Armour | - | ||
4 | The Lucky Policeman | 1938 | - | |
5 | 警官の証言 | 論創社 論創海外ミステリ88('09) | ||
6 | She Had to Have Cas | 1939 | - | |
7 | 甘い毒 | 1940 | 国書刊行会 世界探偵小説全集19('97) | |
8 | Sealed-Room Murder (密室殺人) |
1941 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Cut and Run | 1941 | - | マーティン・タナー名義 |
【参考】「警官の証言」(論創社 論創海外ミステリ)