UK コリン・デクスター
(Colin Dexter)

ウッドストック行最終バス
「ウッドストック行最終バス」
(1975年)
(早川書房)

 イギリスの推理小説家で、ピーター・ラウゼイやレジナルド・ヒルとともに現代本格ミステリー界を代表する男性作家の一人です。

 リンカーンシャーのスタンフォードに生まれケンブリッジ大学修士号を取得後、イギリス陸軍通信隊に勤務し、中等学校教師を経てオックスフォード地方試験委員会に勤務します。

 作家としてのデビューは1975年の長編「ウッドストック行最終バス」でシリーズキャラクターとなるモース主任警部が初登場し、その後の長編でも全て活躍しました。

 25年間の作家生活で13の長編しか発表していないのですが、そのどれもが水準作以上であり、本格ファンからも高い支持を得ています。

 その作風は、何度もあてはめてみては失敗し、やがて正解にたどり着くというまさにクロスワード・パズルに似たところがあるのですが、この点実はデクスター自身もクロスワードパズルの大の愛好者で、そのキー作りのチャンピオンタイトルを3年連続で獲得したこともあるほどの腕前なのだそうです。

オックスフォード運河の殺人
「オックスフォード運河の殺人」
(1989年)
(早川書房)

 大がかりなトリックはないのですが、二転三転する意外性がり、心地よい読後感を得ることができる作品が多いのが特徴です。

 また主人公の探偵役モース警部とワトソン役のルイス部長刑事とのやりとりも非常に面白く、何度も爆笑させられること請け合いのユーモアたっぷりの作品に仕上がっています。

 モース警部シリーズは本国イギリスではドラマ化もされていて大好評を博し、一大ブームを巻き起こした時は国内の人気投票でシャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロをおさえて1位になったこともあるそうです。そしてこの作品は日本でも2001年にBSで放送されていました。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、リンカーンシャーのスタンフォード
学歴
ケンブリッジ大学卒、文学博士、修士号取得
生没
1930年~
作家としての経歴
1975
モース主任警部シリーズ第1作「ウッドストック行最終バス」を発表
1979
長編「死者たちの礼拝」で、1981年には「ジェリコ街の女」でイギリス推理作家協会(CWA)賞のシルヴァー・ダガー賞を受賞
1989
長編「オックスフォード運河の殺人」で、1992年には長編「森を抜ける道」でイギリス推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー賞を受賞
1997
イギリス推理作家協会(CWA)賞のダイヤモンド・ダガー賞を受賞
1999
モース最後の事件「悔恨の日」を発表
シリーズ探偵
モース主任警部 (Inspector Morse)
代表作
「ウッドストック行最終バス」「ジェリコ街の女」
「オックスフォード運河の殺人」「森を抜ける道」
ランキング
EQアンケート17位
ハヤカワベスト100・8位

■著作リスト■

1 モース主任警部登場作品リスト

2 その他の作品

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 モース警部、最大の事件 1993 早川文庫148-11
HPB1619
モース警部7編他
全11編
1 エヴァンス、初級ドイツ語を試みる 1977 早川文庫「またあの夜明けがくる」('82)
HMM'79.1
2 世間の奴らは騙されやすい 1981 早川文庫「パパとママに殺される」('83)
HPB「現代イギリス・ミステリ傑作選2」('88)
HMM'82.12
3 花婿は消えた? 1989 HMM'91.6 シャーロック・ホームズ
4 モンティの拳銃 1992 HMM'93.10

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Double Crossing
行きつ戻りつ
2003 HMM'06.4

【エッセイ・評論その他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 モース警部 2009 早川書房「ヒーローの作り方─ミステリ作家21人が明かす人気キャラクター誕生秘話」('10) オットー・ペンズラー編

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