ネビル・シュート
(Nevil Shute Norway)

　イギリスの冒険小説家。エセックス州に生まれオックスフォード大学を卒業後、デハビランド航空機会社に技術者として入社し飛行船Ｒ101機の製造に携わっていましたが、その傍ら余暇を利用して小説を書き、1926年に処女小説「Marazan」を発表して作家生活をスタートさせます。

　1931年に独立しエアスピード社を興して経営者となりますが、1938年には退職し専業作家となります。第二次世界大戦の際には志願して入隊し海軍本部に勤務。その勤務の最中1942年に代表作の「パイド・パイパー」を、その他にも「牧歌」「極秘事項」などの小説を書き上げています。

　戦後の1947年には映画化されてベストセラーにもなった「チェカーボード」や「ノー・ハイウェイ」を書き、1948年には２か月オーストラリアを訪ね、その時着想を元に長編「アリスのような町」を発表。その後家族とともにオーストラリアに移住し、60年に亡くなるまで過ごしました。

　その他に近未来戦争をシリアスに描いた長編「渚にて─人類最後の日」は1959年と2000年の２度にわたって映画化もされ、ＳＦの古典として人気を博しています。

　冒険小説のみならず様々なジャンルの小説を書き、全部で24の小説と１冊の自伝を残していますが、残念ながら日本では邦訳数も少なくどちらかというと不遇の作家の部類に入ると思われます。

　しかし本国イギリスではミステリーの女王アガサ・クリスティーや冒険小説の雄ハモンド・イネスと並んで、現在でも人気の高い作家なのだそうです。