アーサー・G・クルック弁護士
(Mr. Arthur Crook)

　イギリスの女流本格ミステリー作家アントニイ・ギルバートの作品に数多く登場する弁護士探偵。1936年以降に彼女が発表した作品のほぼ全てに登場しています。

　「クルック」とは英語の口語で「悪漢」とか「詐欺師」という意味で、風変わりで非常に個性的な名前の由来といえますが、名前だけでなくキャラクター自身もとても個性の強い人物として描かれています。

　「犯罪者の命綱」とか「判事の絶望」などとあだ名され、「自分の依頼人はすべて無実である」と信じ、「必ず真犯人を捕まえる」と公言してはばからない自信家ですが、その言葉は探偵さながらに緻密な捜査活動と頭脳明晰な鋭い推理に裏打ちされたもので、依頼人の無罪を勝ち取るため、日々東奔西走する毎日を送っています。

　その一方でビールを愛好し、服装にはいたって無頓着。加えて性格もどこかとぼけた印象のあるユーモアにあふれた愛すべき人物で、後に足を拳銃で撃たれて宝石泥棒から転身したビル・パースンズを助手として使うなど、人情家としても知られています。