ドルリー・レーン
(Drury Lane)

　アメリカ本格黄金時代の雄エラリー・クイーンが生み出したもう一人の名探偵。発表当時バーナビイ・ロス名義で発表された”ＸＹＺ”の３つの”悲劇”を含む全部で４つの長編に登場します。

　元はシェークスピアの俳優として活躍していましたが、俳優にとっては命ともいえる聴覚を失ったために引退を余儀なくされてしまいます。

　そして現在はニューヨーク市郊外の丘に建つ〈ハムレット〉荘にて、助手のクエーシーや執事のフォルスタッフら数少ない近しい人物に囲まれて悠々自適の隠遁生活を送っています。

　この点聴覚は失いましたが、相手の唇の動きで会話の内容を読み取ることができるといういわゆる読唇術を身につけたため、電話以外では通常の人間と何ら変わりなく生活することができます。

　また既に年齢は60を過ぎているのですが、毎日水泳を欠かさず、日に焼けた鍛えられた肉体をもち、顔には皺ひとつないため、その風貌からは40代にしか見えません。

　そんなレーンですが、劇中で数多くの犯罪者を演じてきたためか、犯罪者の心理を見抜くのを得意とするなど名探偵としての才能も持っていて、難事件に音をあげて〈ハムレット〉荘を訪れてくるニューヨーク市警のサム警部らの要請を受けては、事件の捜査に乗り出すこともしばしばです。

　また、時には助手のクエーシーの天才的メイキャップによって変装し、自ら捜査・証拠集めに奔走したりもする行動的な一面も持ち合わせています。