アメリカ本格黄金時代の作家ルーファス・キングの生み出した警察官探偵。ヴアルカアとも表記。
フランスで生まれ、カナダで育ち、アメリカで探偵・警察官として活躍するという国際経験豊かな人生を送りました。
彼の父親のアンリ・ジュール・デ・ラ・ヴァルクールも有能な警察官としてフランスで名を馳せていましたが、パリ警視庁からカナダへの転勤が決まるとケベック州に移住。それ以後はカナダ自治領警察に所属して、そこでも華々しい活躍を見せた名刑事です。
ヴァルクールはそんな父親の下に一人息子として生まれ、幼い頃から父親の手で探偵としての手ほどきを受けながら育っていきます。
しかし父親が亡くなるとマッギル大学を中退してカナダを離れることを余儀なくされ、最初はアメリカ・ニューヨーク市の国際的に有名な私立探偵社からの誘いを受けて私立探偵として活躍します。
そして二年後の勤務の後そこを退職すると、今度はニューヨーク市警察へと転職し、刑事課に配属されます。
それ以後は父親から譲り受けたフランス仕込みの直感的なひらめきの能力と、私立探偵時代に身につけたフランス人にありがちな激情を抑える忍耐力、そして警察官となってから学んだ証拠を扱う際の実用的な知識を余す所なく活かして、警察官としての職務を忠実にこなしていく、頼れる存在へと成長を遂げていきました。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Murder by the Clock (時計の殺人) |
1929 | - | |
2 | Somewhere in the House (英 A Woman Is Dead) (A Murderer in the House) 白魔の一夜 (脅迫の恋文) |
サイレン社(抄訳)('36) アドア社(抄訳)('36) |
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3 | 緯度殺人事件 | 1930 | 黒白書房 世界探偵傑作叢書2(抄訳)('35) | ヴアルカア警部 |
4 | Murder in the Willet Family | 1931 | - | |
5 | Murder on the Yacht | 1932 | - | |
6 | Valcour Meets Murder | - | ||
7 | The Lesser Antilles Case (Murder Challenges Valcour) 深海の殺人 |
1934 | 新青年'35.8(抄訳) | |
8 | Profile of a Murder | 1935 | - | |
9 | 不変の神の事件 | 1936 | 創元推理文庫191-2 | |
10 | Crime of Violence | 1937 | - | |
11 | Murder Makes Minami | 1939 | - |
【参考】「不変の神の事件」(東京創元社 創元推理文庫)