「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を」

UK パーカー・パイン
(Mr. Parker Pyne)

パーカー・パイン登場
「パーカー・パイン登場」
(1934年)
(早川書房)

 ミステリーの女王アガサ・クリスティーの生み出した身の上相談専門の探偵。12編を収録した短編集と他に2編の計14編に登場。

 35年の官庁勤めを無事終えた後、不幸な人の悩みを解決する仕事を第二の人生に選んだ初老の男で、外見は度のきつい眼鏡をかけたどう見ても冴えない禿頭の大男ですが、なぜかその姿には人を安心させる力があり、そのため彼の事務所を訪れる依頼人は決まって悩みをあっさりと打ち明けてしまうという、何とも不思議な魅力を持っています。

 そして依頼人の悩みを受けると、パインは若いスタッフたちに指示を出すだけで、自らは何もしないのですが、その裏に仕掛けられた計画が、冒頭で出会ったどことなく平凡な英国紳士のパインからは想像もできない奇想天外なもののため、その絶妙な組み合わせが読者に心地良い読後感を与えてくれます。

 このように謎の男の指令を受けた有能なスタッフが、あの手この手で事件を解決するという手法は、「スパイ大作戦」や「チャーリーズ・エンジェル」にも見られますが、パインものはまさしくその先駆けとも言えるシリーズです。


■原作■

アガサ・クリスティー
(Agatha Christie 英 1890-1976)


■人物ファイル■

協力者
秘書のミス・レモン
事件簿
全14短編に登場(1短編集)

■事件ファイル■

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 パーカー・パイン登場
(パーカー・パインの事件簿)
1934 早川文庫 クリスティー文庫57
早川文庫1-31
創元推理文庫105-9
HPB520
1 中年夫人の事件
(中年の妻の事件)
1932 別冊宝石81('58)
2 不満軍人の事件
(不満な軍人の事件)
3 困った婦人の事件
(悩める婦人の事件)
4 不満の夫の事件
(不満な夫の事件)
5 サラリーマンの事件
(ロンドンの会社員の事件)
6 富豪婦人の事件
(金持の夫人の事件)
(幸福は購い得る)
別冊宝石83('59)
7 あなたはほしいものをみな持っていますか?
(ほしいものは全部入手したか?)
1933
8 バグダッドの門
(バグダードの門)
1932
9 シラーズの家
(シラズの館)
10 高価な真珠
(真珠の値打ち)
EQMM'59.4
11 ナイル河上の死
(ナイル河の死)
12 デルファイの神託
2 黄色いアイリス 1939 早川文庫 クリスティー文庫59
早川文庫1-56
米版のみ
ポアロ5編、マープル1編他全9編
1 レガッタ・デーの事件
(ヨット・レース事件)
1936 創元推理文庫105-4「砂に書かれた三角形」
2 ポリエンサ海岸の事件
(ポレンサ入江の事件)
(マジョルカの休暇)
創元推理文庫105-4「砂に書かれた三角形」
別冊宝石93('59)

【参考】「パーカー・パイン登場」(早川書房 ハヤカワミステリ文庫)
「パーカー・パイン登場」(早川書房 クリスティー文庫)
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