イギリスの本格作家レオ・ブルースの初期作品に登場する、イギリスの片田舎に住む警察官探偵。
その風貌は赤ら顔にほつれた生姜色の口ひげを持ち、パブでビールを飲みながらダーツに興じるのを何よりの楽しみとしているいわゆる中年親爺で、人の笑いを誘わずにおかない鈍重な身のこなしに加えて、立ち振る舞いも決して器用とは言い難く、一見すると滑稽な道化者の役割を担っているように感じられます。
しかし実はその一方で誠実な人柄で周囲の人間の信頼を勝ち取り、そこから得た事件の手がかりを頼りに、自らの頭脳を駆使して見事に事件を解決に導いていく名探偵でもあるのです。
このビーフの登場する作品でワトスン役を務めるのがライオネル・タウンゼントという名前の探偵作家で、高等教育を受けたインテリで、なおかつ色々なことによく気がつく気配り上手ではあるのですが、いざという時には役に立たず、まったくもって頼りにならないのが玉に瑕です。
もっとも彼は自らをワトスン役として意識していて、ビーフの扱う事件を出来の良い探偵小説に仕立て上げることができるかどうかを絶えず気にかけていて、二人は絶えず言い争いを繰り返しながら事件が進んで行きます。
そんな二人のやり取りがまるで掛け合い漫才のようで、物語により一層のユーモアな雰囲気を醸し出しているのです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 三人の名探偵のための事件 | 1936 | 新樹社 新樹社ミステリ('98) | |
2 | 死体のない事件 | 1937 | 新樹社 新樹社ミステリ('00) | |
3 | 結末のない事件 | 1939 | 新樹社 新樹社ミステリ('00) | |
4 | Case with No Conclusion (四人の道化師の事件) |
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5 | ロープとリングの事件 | 1940 | 国書刊行会 世界探偵小説全集8('95) | |
6 | Case for Sergeant Beef | 1947 | - | |
7 | Neck and Neck | 1951 | - | |
8 | Cold Blood | 1952 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | Murder in Miniature, The Short Stories of Leo Bruce | 1993 | - | 没後出版 全28編 |
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1 | Holiday Task | - | |||
2 | Murder in Miniature | - | |||
3 | The Doctor's Wife | - | |||
4 | Beef and the Spider | - | |||
5 | Summon's to Death | - | |||
6 | The Chicken and the Egg | - | |||
7 | Blunt Instrument | - | |||
8 | I said the Sparrow | - | |||
9 | A Piece of Paper | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Death in the Garden 庭園の死 |
HMM'80.4 |
【参考】「ロープとリングの事件」(国書刊行会 世界探偵小説全集〉