冒険と空想が大好きな銀翼の少女
アメリカの女流児童ミステリー作家ヘレン・ウェルズが生み出した、スチュワーデス探偵。本名はビクトリア・バーといいイリノイ州大学教授の娘で、美しいブロンドの髪をした明るく行動的な少女です。
小さい頃から空想家で、家の裏にあるりんごの木の下に寝転がって冒険の夢を描くのが日課でした。そんなある日のこと、フェアビュー日曜新聞に出ていた「旅行が好きな、冒険の好きな少女たちに!」という見出しのスチュアーデス募集の広告を見てスチュアーデスになる決心をします。
その後フェデラル・エアーラインのスチュアーデス学校での厳しい訓練を経て、夢にまで見たスチュアーデスになることができた彼女は、ほどなく家族の見送る中、シカゴ空港から初めての飛行機を体験。
そしてそこで彼女の後の同僚となるジーン・コックスと知り合い、二人はすぐにいたずら仲間となり、もう一人の仲良しの同僚チャーミオン・ウィルソンと三人でアパートに住みながら厳しい仕事に励む毎日を送っています。
その一方で彼女は実は生れつきの探偵好きで、これまでにも仕事の傍らいくつかの事件を解決してきたことから、友達の間では”秘密探偵”とあだ名されるようになります。
物語はそんな彼女が行く先々で遭遇する奇妙な事件を、その土地特有の伝統や風俗も織り交ぜながらユーモアと機知に溢れた文体で描いてゆきます。
彼女のの実家イリノイ州フェアビューは中くらいの大きさのトウモロコシと小麦の町で、町はずれの丘の上にそびえ立つビッキーの実家は、いとこが残していった古いノルマン風の作りの赤い屋根の塔があることから”お城”と呼ばれ町の名物にもなっています。
そしてそこには日曜になると母を追い出して妙な料理を作り、台所を汚しては母親に叱られるおしゃれで料理好きな大学教授のルイス・バー教授と、ビッキーのスチュアーデス志願を誰よりも理解してくれている乗馬好きの快活な母親ベッティ・バー夫人、それに友達と自家製の砂糖菓子(ファッジ)を売るお菓子屋さんを始めるなどおませでビッキーを時々困らせる12歳の妹ギニーと、ひょうきんで家の人気者の愛犬フレックルというビッキーの愛すべき家族たちが住んでいて、見知らぬ土地で一人頑張っているビッキーを遠くから温かく見守ってくれています。
なお詳しくは海外のこちらのサイト様に他の少女探偵たちと一緒に特集されていますので、ご覧下さい。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 銀翼の少女 | 1947 | 講談社 世界少女小説全集4('57) | HW |
2 | Vicki Finds the Answer | - | ||
3 | The Hidden Valley Mystery | 1948 | - | |
4 | スチュアデスの活躍 | 1949 | 金の星社 少女・世界推理名作選集29('66) | |
5 | ハワイの冒険 | 1950 | 金の星社 少女・世界推理名作選集28('65) | JT |
6 | Behind the White Veil | 1951 | - | |
7 | The Mystery at Hartwood House | 1952 | - | |
8 | Peril Over the Airport | 1953 | - | HW |
9 | 空駆ける少女探偵 | 1954 | ポプラ社 ジュニア世界ミステリー9('68) | |
10 | The Search for the Missing Twin | - | ||
11 | The Ghost at the Waterfall | 1956 | - | |
12 | The Clue of the Gold Coin | 1958 | - | |
13 | The Silver Ring Mystery | 1960 | - | |
14 | The Clue of the Carved Ruby | 1961 | - | |
15 | The Mystery of Flight 908 | 1962 | - | |
16 | The Brass Idol Mystery | 1964 | - |
【参考】海外サイト「Vintage Series Books for Girls」様