自らの舞台経験をもとにした本格ミステリを発表
イギリスの作家。演劇と深い関わりを持つ作家で、16歳の時初め戯曲を書き上げ、18歳の時には自ら手掛けた「Ferry Inn」という少年向けのスリラー劇が上演されるほど才気に溢れた青年だったといいます。その後20代は巡業劇団に参加し舞台役者として活動しますが、しばらくは生活が苦しい時期が続いたそうです。
30代になると再び文筆業に力を入れ始め、1948年からはアントニイ・バークリーやA・A・ミルンも活躍しユーモア誌として有名なあの〈パンチ〉誌に投稿して名を馳せます。
1950年からは作家活動も開始し、自ら俳優時代の経験を題材に1952年、売れない巡業劇団の役者の苦悩を描いた処女長編「All Next Week」を発表。その後も舞台を題材にした小説やテレビ向けの脚本を書いたり、旅行記を発表するなどの活躍を見せていましたが、1962年に40代半ばという若さで他界しています。
唯一のミステリ長編となった1955年発表の「チャーリー退場」も、やはり自らの演劇経験を活かし演劇を題材に採った作品で、演劇の世界を生きる俳優や舞台関係者たちをリアルに描いた傑作本格ミステリとして、本格ファンの間では高い評価を得ています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | チャーリー退場 | 1955 | 創元推理文庫265-4 東京創元社 クライム・クラブ17('59) |
唯一のミステリ長編 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | All Next Week | 1952 | - | 処女長編 舞台役者を題材にした小説 |
2 | Cry for Shadows | 1953 | - | 舞台役者を題材にした小説 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Big City or the New Mayhew | 1958 | - | パンチ誌に連載されたロンドンの暗黒街を描いた小説 画・Ronald Searle |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Chapter the Last: Merriman Explains 最終章─メリマン謎を解く |
1951 | HMM'01.4 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Four Winds | 1954 | - | |
2 | Design for Murder | 1958 | - | テレビ向けの脚本、スリラー |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | By Rocking Chair Across America (英 U.S.A. for Beginners) |
1959 | - | 架空の旅行記 |
2 | By Rocking Chair Across Russia (英 Russia for Biginners) |
1960 | - |
【参考】「チャーリー退場」(東京創元社 創元推理文庫)