自らの舞台経験をもとにした本格ミステリを発表

UK アレックス・アトキンスン
(Alex Atkinson)

チャーリー退場
「チャーリー退場」
(1955年)
(東京創元社)

 イギリスの作家。演劇と深い関わりを持つ作家で、16歳の時初め戯曲を書き上げ、18歳の時には自ら手掛けた「Ferry Inn」という少年向けのスリラー劇が上演されるほど才気に溢れた青年だったといいます。その後20代は巡業劇団に参加し舞台役者として活動しますが、しばらくは生活が苦しい時期が続いたそうです。

 30代になると再び文筆業に力を入れ始め、1948年からはアントニイ・バークリーやA・A・ミルンも活躍しユーモア誌として有名なあの〈パンチ〉誌に投稿して名を馳せます。

 1950年からは作家活動も開始し、自ら俳優時代の経験を題材に1952年、売れない巡業劇団の役者の苦悩を描いた処女長編「All Next Week」を発表。その後も舞台を題材にした小説やテレビ向けの脚本を書いたり、旅行記を発表するなどの活躍を見せていましたが、1962年に40代半ばという若さで他界しています。

 唯一のミステリ長編となった1955年発表の「チャーリー退場」も、やはり自らの演劇経験を活かし演劇を題材に採った作品で、演劇の世界を生きる俳優や舞台関係者たちをリアルに描いた傑作本格ミステリとして、本格ファンの間では高い評価を得ています。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、リヴァプール
生没
1916年~1962年
作家としての経歴
1952
自らの舞台経験をもとに売れない巡業劇団の役者の苦悩を描いた処女長編「All Next Week」を発表
1955
唯一の本格ミステリ長編「チャーリー退場」を発表
シリーズ探偵
ファーニス主任警部(Chief Inspector Furniss)&アップルビー部長刑事 (Sergeant Appleby)
代表作
「チャーリー退場」

■著作リスト■

1 ファーニス主任警部&アップルビー部長刑事登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 チャーリー退場 1955 創元推理文庫265-4
東京創元社 クライム・クラブ17('59)
唯一のミステリ長編

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 All Next Week 1952 - 処女長編
舞台役者を題材にした小説
2 Cry for Shadows 1953 - 舞台役者を題材にした小説

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Big City or the New Mayhew 1958 - パンチ誌に連載されたロンドンの暗黒街を描いた小説
画・Ronald Searle

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Chapter the Last: Merriman Explains
最終章─メリマン謎を解く
1951 HMM'01.4

【戯曲】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Four Winds 1954 -
2 Design for Murder 1958 - テレビ向けの脚本、スリラー

【その他の作品】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 By Rocking Chair Across America
(英 U.S.A. for Beginners)
1959 - 架空の旅行記
2 By Rocking Chair Across Russia
(英 Russia for Biginners)
1960 -

【参考】「チャーリー退場」(東京創元社 創元推理文庫)
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