リーガル本格の雄
イギリス黄金時代後期にデビューした本格推理作家。
1900年という節目の年に代々法曹家を輩出してきたというイギリスのサリー州の名家に生まれ、オックスフォード大学を卒業の後は法廷弁護士、裁判所判事として法曹界で活躍していました。
推理小説を書き始めた動機は収入の少なさを補うためだったらしく、公務の傍らに自らの法務経験を活かした〈リーガル本格〉と位置づけられる推理小説を書き上げ、1937年に長編「死のテナント」で作家デビューを果たします。
そして法曹界出身の作家にありがちな法律の知識に偏するということもなく、「動機と機会」を最重要視した質の高い本格作品を発表しています。
またそれに加えて彼の作品は人物描写も細やか且つイギリス・ミステリー伝統の諷刺の効いたユーモア精神に溢れていて、大人の読み物としても充分に耐えうる重厚で味わいの深い仕上がりになっています。
全部で9つの長編と30あまりの短編を発表し、その初期作品ではスコットランド・ヤードのマレット警部が活躍。その後「法の悲劇」から登場した弁護士フランシス・ぺティグルーとマレット警部がしばらく共演した後、最後はぺディクルー弁護士が単独で活躍する作品に変わります。
その他にも評論家としても活躍していて、いくつかの評論を残しています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 英国風の殺人 | 1951 | 国書刊行会 世界探偵小説全集6('95) | 歴史学者ボトウィンク博士が探偵役 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | Best Detective Stories of Cyril Hare | 1959 | - | マイケル・ギルバート編 マレット2編、ペティグルー2編他全30編 |
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1 | "Where there's a will" (The will) |
- | |||
2 | Miss Burnside's Dilemma ミス・バーン・サイドのジレンマ |
HMM'95.7 | |||
3 | Murderer's Luck (The Unluckiest Murderer) |
- | |||
4 | The Tragedy of Young Macintyre | - | |||
5 | It Takes Two 過ぎたるは… |
HMM'78.11 | |||
6 | Death of a Blackmailer | - | |||
7 | The Boldest Course (The Old Flame) もっとも大胆な手口 (昔の恋人) |
HMM'96.12 HMM'80.9 |
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8 | "As the Inspecter Said" | - | |||
9 | Death Among Friends | - | |||
10 | The Story of Hermione | - | |||
11 | A Surprise for Christmas | - | |||
12 | The 24-Carat Heel 金箔つきのげす野郎 |
EQMM'57.7 | |||
13 | The Rivals | - | |||
14 | I Never Fofget a Face | - | |||
15 | A Life for Life | - | |||
16 | The Markhampton Micarcle マークハンプトンの奇跡 |
EQ'97.9 | |||
17 | A Very Useful Relatitonship | - | |||
18 | Sister Bessie 義妹ベッシー |
HMM'79.1 | |||
19 | Line Out of Order | - | |||
20 | Dropper's Delight | - | |||
21 | Monday's Child 月曜日の子供 |
HMM'78.3 HMM'71.9 |
Children 子供たち |
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22 | Tuesday's Child (Sermon in Bags) 火曜日の子供 (バッグの教訓) |
HMM'78.3 HMM'85.5 |
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23 | Wednesday's Child 水曜日の子供 |
HMM'78.3 | |||
24 | Thursday's Child 木曜日の子供 |
HMM'78.3 | |||
25 | Friday's Child 金曜日の子供 |
HMM'78.3 | |||
26 | Saturday's Child (The Euthanasia of Hilary's Aunt) 土曜日の子供 (メアリー伯母さんの安楽死) |
HMM'78.3 HMM'69.7 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Magic Bottle | 1946 | - | ジュヴナイル・ファンタジー |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 推理小説の古典的形式 | 三一書房「推理小説をどう読むか」('71) | エッセイ |
【参考】「英国風の殺人」(国書刊行会 世界探偵小説全集)