アガサ・クリスティーが絶賛した技巧派本格ミステリ作家
イギリスの本格推理小説家。スコットランド南西部の港町グリーノックに生まれ、大学卒業後はスコットランド南東部、ファイフ地方の名門セント・アンドリューズ大学の事務職員として勤務していました。
1961年、クライム・クラブ叢書で有名なイギリスのコリンズ社の主催した大学教員を対象とした探偵小説のコンクールDon's Detective Novel Competitonに「兄の殺人者」で応募し、審査員の一人であったミステリーの女王アガサ・クリスティーから「最後まで私が読んで楽しめた、極めて面白い犯罪小説」と絶賛を受けます。
もっとも肩書が大学の教員ではなく事務職員であったために結局受賞は逃すことになりますが、その後コリンズ社からこの作品は出版され、ディヴァインはミステリ作家としてデビュー。以後は大学の事務職員を続けながらコンスタントに作品を発表し続け、没後出版の1冊を含めて1980年に亡くなるまでに計13作の作品を残しています。
その作風は謎の提出、伏線、意外な結末という三拍子の揃った典型的な本格ミステリーで、ハードボイルドやスパイ・冒険小説などが台頭してきた1960年代以降のミステリ界で、従来の本格探偵小説がまだまだ健在であることを示してくれました。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 兄の殺人者 | 1961 | 創元推理文庫240-6 現代教養文庫 ミステリ・ボックス3041 |
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2 | Doctors Also Die | 1962 | - | |
3 | ロイストン事件 | 1964 | 現代教養文庫 ミステリ・ボックス3047 | |
4 | こわされた少年 | 1965 | 現代教養文庫 ミステリ・ボックス3049 | |
5 | 悪魔はすぐそこに | 1966 | 創元推理文庫240-3 | |
6 | 五番目のコード | 1967 | 創元推理文庫240-7 現代教養文庫 ミステリ・ボックス3043 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Sleeping Tiger | 1968 | - | |
2 | Death Is My Bridegroom | 1969 | - | |
3 | Illegal Tender | 1970 | - | |
4 | 災厄の紳士 | 1971 | 創元推理文庫240-5 | |
5 | 三本の緑の小壜 | 1972 | 創元推理文庫240-8 | |
6 | 跡形なく沈む | 1978 | 創元推理文庫240-9 | |
7 | ウォリス家の殺人 | 1981 | 創元推理文庫240-4 | 没後出版 邦訳はD・M・ディヴァイン名義 |
【参考】「悪魔はすぐそこに」(東京創元社 創元推理文庫)