怪盗小説の先駆け的作家

UK E・W・ホーナング
(Ernest William Hornung)

二人で泥棒を
「二人で泥棒を」
(1899年)
(論創社)

 イギリスの小説家。若い頃喘息にかかり、療養のためオーストラリアに渡り静養。その時同地の大自然に魅せられて1890年、処女小説「藪から現れた花嫁」を出版します。

 そして二年後にはイギリスへ帰国し、その後は文筆活動に励み、〈コーンヒル・マガジン〉などに短編を発表していきます。

 1893年にはシャーロック・ホームズの生みの親であるアーサー・コナン・ドイルの妹コンスタンスと結婚しており、彼の出世作となった1899年発表の義賊ラッフルズ・シリーズの第1短編集「二人で泥棒を(義賊ラッフルズ)」では、〈A・C・Dに、このへつらいの物語を〉というように、そのドイルに献辞も寄せています。

 義賊ラッフルズシリーズは”盗賊”という犯罪者に紳士的な魅力を持たせた怪盗小説の嚆矢として、世界的な人気となったフランス人作家モーリス・ルブランの〈怪盗アルセーヌ・ルパン〉シリーズやレスリー・チャータリスの〈聖者サイモン・テンプラー〉シリーズにも影響を与えたとされています。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、ヨークシャー州ミドルスボロー
学歴
アピンガム校卒
生没
1866年6月7日~1921年3月22日(54歳)
作家としての経歴
1890
オーストラリアの大自然を舞台にした処女作「藪から現れた花嫁(A Bride from the Bush)」、次いで1894年「Boss of Taroomba」を発表
1899
紳士泥棒ラッフルズの登場する第1短編集「二人で泥棒を(義賊ラッフルズ)」を刊行
その後ラッフルズシリーズは26短編1長編が書かれている
シリーズ探偵
紳士泥棒A・J・ラッフルズ (A. J. Raffles)&バニー・マンダース (Bunny Manders)
犯罪博士ジョン・ダラー (Dr. John Dollar)
代表作
「二人で泥棒を(義賊ラッフルズ)」(短編集)

■著作リスト■

1 紳士泥棒 A・J・ラッフルズ登場作品リスト

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 A Bride from the Bush
(藪から現れた花嫁)
1890 - ホーナングのデビュー作
2 Under Two Skies 1892 -
3 Tiny Luttrell 1893 -
4 The Boss of Taroomba 1894 -
5 The Unbidden Guest -
6 The Rogue's March 1896 -
7 Irralie's Bushranger -
8 My Lord Duke 1897 -
9 Young Blood 1898 -
10 Dead Men Tell No Tales 1899 -
11 The Belle of Toorak
(The Shadow of a Man)
1900 -
12 Peccavi -
13 The Shadow of the Rope 1902 -
14 At Large -
15 No Hero 1903
16 Denis Dent -
17 The Camera Fiend 1911 -
18 Fathers of Men 1912 -
19 Witching Hill 1913 -
20 The Thousandth Woman -
21 Ballad of Ensign Joy 1917

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Some Persons Unknown 1898 -
2 Stingaree 1905 - ラッフルズに似たトム・エリクセンもの
3 The Crime Doctor 1914 - 犯罪博士ジョン・ダラーもの
4 The Young Guard 1919 -
5 Old Offenders and a Few Old Scores 1923 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 的外れの先生 1914 早川文庫87-1「シャーロック・ホームズのライヴァルたち1」('83) 犯罪博士ジョン・ダラーもの
短編集2に収録
2 祭典のスポーツ 宝石'55.12(10-17) 原題不明
3 恋の陽の下に 探偵倶楽部'54.10(5-10)
4 騒がしき夜の闇 探偵倶楽部'54.6(5-6)
5 脱獄囚 新青年'31夏季増刊

【参考】「クイーンの定員 I 」(光文社文庫)
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