〈ハウダニット〉の名手
アメリカの推理小説家。イリノイ州に生まれ、ペンシルヴェニア大学を卒業後新聞記者として地元の〈ニューズ〉紙で働いた後、1898年にニューヨークの〈ワールド〉紙に移転し1908年までの10年間華々しい活躍を見せます。
1908年になると結婚を機に退社しフリーのジャーナリストとなり、、1910年から本格的な執筆活動を開始して農業問題、労働問題、技術革新など数多くのテーマでエッセイを発表し、これらの問題について語った著書も二冊出しています。
そしてこれまでの執筆経験を活かして1911年には小説家としてデビューを果たし、デビュー作の短編「身元不詳の男」を皮切りとして怪盗ゴダールや女賊ソフィ・ラングなどのユニークなキャラクターを主人公とする本格志向の強い短編を〈サタデー・イブニング・ポスト〉や〈マルクア〉などの一流誌に寄稿する人気作家となります。
また探偵小説だけでなく演劇や音楽界を舞台とした短編も発表していて、これらも含めて1933年頃までに70編あまりの中短編を残していますが、1937年に夫人が亡くなると事実上の隠遁生活に。
それ以後は1940年代に彼の作品を愛読していたエラリー・クイーンの要請で〈エラリー・クイーン・ミステリ・マガジン〉に掲載された3編のみの発表に止まっています。
彼の作品には怪盗ゴダールや女賊ソフィ・ラングの他数多くのキャラクターが登場しますが、これらのシリーズをまたいで様々なキャラクターが共演を見せていて、アンダースン独自の世界観を築き上げている所にその特徴があります。
ミステリとしては、警察の厳重な包囲網や難攻不落の金庫などをいかにかいくぐって盗んでいったか?という、いわゆる〈ハウダニット(どうやってやったか?)が中心となる本格ミステリが最も多いのが特徴ですが、それに加えて登場人物に凝った仕掛けをして最後の最後であっと言わせる手法など、独特のスタイルと複雑なプロットで読者を驚愕の世界へと導いてくれます。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | The Notorious Sophie Lang (悪名高きソフィ・ラング) |
1925 | - | ||
1 | The Signed Masterpiece | - | オリヴァー&パー | ||
2 | The Whispering Gallery | - | オリヴァー&パー | ||
3 | 贋札 | 創元推理文庫104-27「犯罪の中のレディたち/下」('79) | パーのみ | ||
4 | Dilatory Domiciles | - | オリヴァー&パー | ||
5 | The Van Duersen Haze | - | オリヴァー&パー | ||
6 | The Social Destitute | - | パーのみ | ||
7 | The Peacock | - | オリヴァー&パー |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | The Book of Murder (殺人教書) |
1930 | - | クイーンの定員82 | |
1 | Beyond All Conjecture | - | オリヴァー&パー | ||
2 | The Wedding Gift | - | オリヴァー&パー | ||
3 | The Japanese Parasol | - | オリヴァー&パー | ||
4 | The Dead End | - | |||
5 | The Magician | - | |||
6 | A Start in Life | - | |||
7 | Big Time | - | オリヴァー&パー | ||
8 | The Rcoil | - | オリヴァー&パー | ||
9 | Gulfsteam Green | - | オリヴァー&パー | ||
10 | ドアの鍵 (玄関の鍵) |
光文社文庫「クイーンの定員 II」('92) 別冊宝石75('58) |
オリヴァー&パー |
1~3以外は全てオリヴァー・アーミストン&パー本部長もの
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Unknown Man 身元不詳の男 |
1911 | EQMM'58.4 | アンダースンのデビュー作 ホワイトもの |
2 | Beyond a Reasonable Doubt | 1912 | - | ホワイトもの |
3 | The Purple Flame | - | ||
4 | The Phantom Alibi | 1920 | - | ゴダールへの言及 |
5 | Wild Honey | 1921 | - | |
6 | The Man Killer | 1922 | - | |
7 | The Half-Way House | - | ||
8 | The Follansbee Imbroglio | - | ゴダールへの言及 | |
9 | The White Horse | 1925 | - | |
10 | The Footstep | - | ソフィ・ラングへの言及 | |
11 | Wise Money | 1927 | - | |
12 | The House of Many Mansions | 1928 | - | |
13 | Hangman's Truce | - | ||
14 | Vivace-ma Non Troppo | 1929 | - | |
15 | Madame the Cat | 1930 | - | |
16 | Thumbs Down | - | ||
17 | The Two Martimos | - | ||
18 | The Pandrora Complex | 1932 | - | |
19 | The Man on Post | - | ||
20 | Unfinished Business | 1933 | - | |
21 | 幻の宿泊客 | 1942 | 光文社文庫「世界ベスト・ミステリー50選/上」('94) | パーとフェーシー警部 |
22 | Murder in Triplicate | 1946 | - | |
23 | The Man from the Death House | 1951 | - | パーのみ |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Farmer of Tomorrow | 1913 | - | 農業問題に関するエッセイ |
2 | Electricity for the Farm | 1915 | - |