〈幽霊探偵〉もので有名な英国女流本格作家
イギリスの本格推理小説家。「ガイ」という一見男性を思わせる筆名ですが、本名はコンスタンス・リンゼイ・テイラーといい、実は女流作家です。
女子学院で学んだ後1930年に結婚し、2男1女をもうけしばらくは家庭を守る日々が続きますが、子育ても無事に終えつつあった1948年頃から執筆活動を開始し、同年長編「味のある殺人」をC・リンゼイ・テイラー名義で発表して作家デビューを果たします。
その4年後の1952年に第2長編「霊柩車が欲しいのなら」を発表しますが、この作品から筆名をガイ・カリンフォードという一見すると男性と思える名前を使用するようになりました。
このあたりの事情は定かではありませんが、同じく女流作家であったにも関わらず男性名義の方が売行きが良い傾向にあることを知り、男性を思わせる筆名でミステリを発表し続けたアントニー・ギルバートと同じような理由であったものと想像されます。
そして1953年に第3作「死後」を発表しますが、この作品は幽霊が探偵役となって自分を殺した犯人を探すという、いわゆる〈幽霊探偵〉ものの代表作として、同年に発表されたJ・B・オサリヴァンの「憑かれた死」とともに評論家の間でも評判を呼びました。
「憑かれた死」の方はハードボイルド風の作品ですが、こちらの「死後」の方は凝った文体に辛辣なユーモアが加味されるという、いかにも伝統的なイギリス本格という作品に仕上がっています。
その後も数は少ないものの味わいのある本格探偵小説を数作発表しており、イギリス本格ミステリ界の中では特異な地位を占めている作家の一人です。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Murder with Relish (味のある殺人) |
1948 | - | 処女作 C・リンゼイ・テイラー名義 |
2 | If Wishes Were Hearses (霊柩車が欲しいのなら) |
1952 | - | |
3 | 死後 | 1953 | HPB433 | |
4 | Conjurer's Coffin (奇術師の柩) |
1954 | - | |
5 | Framed for Hanging (絞首台の罠) |
1956 | - | |
6 | The Whipping Boys (犠牲者たち) |
1958 | - | |
7 | A Touch of Drama | 1960 | - | |
8 | Third Party Risk | 1962 | - | |
9 | Brink of Disaster | 1964 | - | |
10 | The Stylist | 1968 | - | |
11 | The Bread and Butter Miss | 1979 | - | |
12 | Bother at the Barbican | 1991 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Change Partners パートナー (相手をかえて) |
1958 | HMM'70.1 ヒッチコックマガジン'60.1 |
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2 | Mr. Mowbray's Predecessor バラと白骨 |
EQMM'62.4 |