ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
(Joel Townsley Rogers)

　アメリカの作家。ハーバード大学に進学し在学中は文学雑誌に詩を発表したり、〈クリムゾン〉という学内誌の編集長を務めたりしていました。

　優秀な成績で通常より１年早く大学を卒業した後はフロリダの海軍に入隊し、２年間パイロットとして活躍。除隊後はいわゆるパルプ作家として数多くのパルプ誌や大衆誌に不定期に様々なジャンルの作品を発表していましたが、1922年になると級友ローウェル・ブレンターノの経営するブレンターノ書店でＰＲ雑誌の編集に携わるようになり、以後は晩年まで出版社勤務の傍ら作品を書くという生活を送るようになります。ちなみにこれらの経緯もあって処女長編は1923年に同書店から出版されています。

　ミステリ作家としては長編を数作品といくつかの中短編を残していますが、中でも1945年に発表された長編「赤い右手」は、その大胆かつ常識外れのトリックから評論家の間でも評価が真っ二つに分かれ、また読者の間でもフェアかアンフェアかで意見の分かれる問題作として知られています。