イギリスの女流推理小説家で、修道士カドフェルものの作者エリス・ピーターズ女史亡き後の歴史ミステリーの第一人者として高い人気を得ています。
バーミンガムに生まれ、オックスフォード大学で英文学を専攻した後13年間公務員を勤めていましたが、ある時ふと作家になることを思い立ち、歴史小説「The Course of Honour」を書き上げます。
ところがいざこれを出版社に持ち込んでみたものの反応は鈍く、結局どの出版社からも採用を断られてしまいます。
ちなみにこの作品は彼女が有名になり作家として地位の確立した1998年になってようやく陽の目を見ることとなります。
もっともこの歴史小説を書いた時の努力は無駄ではありませんでした。下調べの際に半ば冗談めいた中で思いついたという古代ローマに時代をとった密偵ファルコもののアイデアを元に今度は「密偵ファルコ 白銀(しろがね)の誓い」を書き上げますが、これが見事に採用が決まり1989年に作家デビューを果たします。
するとこの作品はたちまち好評を博し、イギリスの図書館において貸し出し回数の1位を記録。他方海外でも版権が売れアメリカでも広く読まれるようになり、世界的な人気を獲得することとなったのです。
1999年にはエリス・ピーターズ女史の功績を讃えて新設された英国推理作家協会(CWA)賞のヒストリカル・ダガー賞を密偵ファルコものの長編「Two for the Lions」で受賞し、初代受賞者の栄誉を獲得しました。
密偵ファルコものは謎解きの面白さに加えて、冒険小説やハードボイルドの要素も持ち、またヘレナとのロマンスも物語の興味を高めます。そして何よりも古代ローマの風俗や社会が詳細に活き活きと描かれている所に最大の魅力があります。これらの古代ローマの知識は著者自身によると独学で身につけたものらしく、彼女の真摯な努力と熱心な研究ぶりを窺い知ることができます。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Course of Honour | 1998 | - | 歴史小説 最初に書かれた作品 |
2 | Rebels and Traitors | 2009 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 豆畑に死す | 1996 | EQ'98.9(125) | 闘士ミロ |
2 | The Party May Yet Be Living... 当事者はまだ存命しているやも… |
1998 | ジャーロ'01春 | |
3 | Body Zone 人体館(ボディゾーン) |
2001 | ジャーロ'02秋 | |
4 | Something Spooky on Geophys 古城の幽霊 |
2003 | ジャーロ'05春 |